未来をつくる大学の研究室 物性物理学
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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研究成果の応用
スピントロニクスへの応用が期待される

 電子スピンは、その性質を利用することによって、より高性能なエレクトロニクスへの応用が期待されています。
 その代表的な例は「スピントロニクス」という技術です。これは、電荷と電子スピンという電子の持つ2つの性質を利用して、新しい機能を持つ素材や素子を開発する研究分野です。現在、電子スピンの「アップ」と「ダウン」という動きを制御して、片方を0、もう片方を1とすることで情報を記録するという方法を使って開発された磁気ヘッド(データを読み書きする際に重要な部品の1つ)や、「MRAM(エムラム)」と呼ばれるコンピュータのメモリが実用化されています。
 物理学では、同じ現象でも見方を変えると全く違う結果が得られることがあります。それが物理学の難しさでもあり、また面白さでもあります。今後は、大学や研究機関の研究員として更に研究を深めて、そうした物理学の面白さを追究していきたいと思います。

高校生へのメッセージ
理系でも英語を使うシーンはよくある

 高校時代、特に物理が好きだったわけでもない私が、今、大学院で最先端の研究に取り組んでいることは、自分でも不思議な気がします。高校生のときに、面白くないと勉強をやめてしまっていたら、今の自分はなかったでしょう。
 ただし私自身、英語をしっかり身につけておかなかったことには悔いが残ります。物理学の論文は、日本人の研究者が書いたものであっても、ほとんどが英文です。学会に出席すれば海外の研究者と話すことがよくあります。理系だからといって、語学をおろそかにしてはいけないことを痛感しています。
 また、自分で論文を書き、プレゼンをする際には、論理的な文章力も必要で、その意味では国語も重要です。文系・理系の枠にとらわれず、幅広い教養を身につけておくことが大切です。


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