未来をつくる大学の研究室 物性物理学
金子智昭

金子智昭さん

かねこ・ともあき
東京工業大大学院
理工学研究科
博士課程2年

VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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大学院生が語る

電子スピンの制御技術でスピントロニクスの扉を開く

大学院での研究
専門分野の学びから物理の魅力を知る

 正直に言って、高校時代の私はそれほど物理に興味があったわけではありません。物理の面白さを感じ始めたのは、大学に入ってからです。量子力学や統計力学などの専門分野を学ぶうちに、物理の面白さがわかるようになり、学年が上がるに従って、物理をもっと勉強したいと思うようになりました。そこで、東京理科大理学部応用物理学科を卒業後、東京工業大の安藤教授の研究室に入りました。
 今は「量子細線における電子スピンの緩和」について研究しています。量子細線というのは、半導体に細い道のようなものをつくり、その中だけで電子が運動するように加工したものです。これをつくるには、まず種類の違う半導体を2枚重ねて二次元電子をつくります。その上で、半導体そのものを削って細くし、半導体の両側に金属を貼り付けることによって真下に電子が存在しづらい状態にして、細い道のようなものをつくります。
 「スピン」は電子が持っている基本的な性質の一つで、地球が自転するのと同じように、電子が回転している状態のことをいいます。スピンの回転には時計回りの「アップ」、反時計回りの「ダウン」の2種類があります。電子はスピンをしている間にどんどん向きを変えて、最初の状態を忘れて違う向きに回転することがあり、これを「緩和」または「拡散」と呼んでいます。私は、量子細線という特異な状況の中で、電子スピンがどのように変化していくのかということを調べています。

写真3
写真3 学部生時代、実験は苦手だったという金子さん。ノートを前に計算機と格闘する日々が続く。

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