きめ細かな進路指導と小論文指導で知られる長崎県立諫早高校は、2002年度、これらを融合させた独自の教育プログラム「CDA学習」を開始した。CDAとは、「理解(Comprehension)」「発見(Discovery)」「志(Aim)」の略。同校は、生徒一人ひとりが志を持ち、実現に向けて努力する「志の教育」を教育目標の一つにしている。これを具現化するために導入したのが、CDA学習だ。小論文指導などを通して、生徒に「書くこと」「情報収集」の重要性を自覚させ、「学ぶこと」「働くこと」の意義を考えさせる。
02年度、同校は大きな転機を迎えていた。新教育課程の施行、完全学校週5日制の導入に加え、長崎県の公立高校入試が03年度に単独選抜となることが決まっていた。更に、同校に03年度から理数科が設置されることが決まり、諫早高校の新しい姿を内外に示す必要があった。
学校を取り巻く環境の変化と共に、生徒の気質が変化していることも大きな課題だった。保護者の影響を受けて、進路選択の視野が狭くなっている生徒が増えていると、多くの教師が感じていた。進路指導部主任の石山雅晴先生は、次のように話す。
「今の保護者の多くは安全志向が強く、無理に難関大を受けるより、多少難易度を下げてでも自宅から通える大学を希望します。大学で資格を取ってきちんと就職してくれれば、それでよいという保護者が増えているようです。生徒が幅広い選択肢の中から自分の希望に適した進路を選べるようにするためには、多様な進路の可能性を示し、生徒自身に夢を持たせることが必要だと考えました」
より明確で高い志を生徒に持たせるためには、学習指導だけでなく、幅広い視野を持たせるための進路指導が必要になっていた。 |