一連の取り組みにより、学校の雰囲気が変わってきた。生徒間の融和が進み、学校内に活気が生まれている。「他科の生徒が頑張る姿を見て、刺激を受ける生徒は少なくありません。異なる科の生徒同士が切磋琢磨し合う雰囲気が生まれています」と、西脇先生は話す。
また、進路指導を強化したことで、生徒の進路決定の時期が早くなった。以前は、多くの生徒が3年生の夏ごろに志望校や希望職種・企業を決めていた。現3年生の学年では、2年次後半に進路を決めていた生徒もいて、受験や就職に向けた準備に早めに取りかかれるようになった。
一方、課題も見えてきた。1つは、進路行事の組み方だ。例えば、普通科ではインターンシップを2年次の夏休みに行うが、専門科では検定や資格試験の日程との兼ね合いで1年次の冬に行っている。指導の統一を図るためにも、同時期に行うことが望ましいと考えている。
2つめは、同校の魅力を地域に伝える広報活動の強化だ。教務主任の渋谷恭司先生は、次のように述べる。
「これまでは、ポスターを中学校に掲示してもらったり、ウェブサイトの充実を図ったりしてきました。今後は、口コミをもっと活用したいと考えています。本校には、休日に父親が校内を清掃する『親父の会』があります。そうした保護者や地域との連携を深めながら、本校の魅力を伝えていきたいと考えています」
統合3年目を迎え、同校は「夢を実現できる人」「信頼される人」「海津を、ふるさとを愛する人」の3つを人材育成の目標に掲げ、改革を加速させつつある。松久校長は今後を次のように展望する。
「統合により本校は市内唯一の公立高校となり、名実共に地域の学校になりました。地域の方と話していても、本校への期待が大きくなっているのを感じます。07年度からは、朝学習の時間を導入し、全校的に学習に向かう雰囲気も生まれています。地域を愛し、夢に向かって努力できる生徒を育成するための取り組みを打ち出し、地域の期待に応えられる学校づくりを目指していきたいと思います」
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