柳生中学校は、2004年度から「総合的な学習の時間」にキャリア教育を取り入れ、「働くこと」をテーマに職場体験や地域貢献に取り組んできた。研究主任の藤井勝哉先生は、その背景をこう述べる。
「本校の生徒は素直でおとなしい反面、受け身になりがちなことが、かねてからの課題でした。自分の進路や将来に真剣に向き合えるようにすることで、主体的に行動できる力を身につけさせたいと考えました」
06年度に「キャリア・スタート・ウィーク」のモデル校になったあとも、狙いは同じ。1年生では「働くこと」についての多様な価値観に触れ、2年生では職場体験などを通して社会や地域貢献について考え、3年生では自分の夢や目標をイメージしながら活動する。働くことの意味を徐々に広げて体験させながら、最終的に自分の将来に引き付けて考えさせることが目標だ。
1年生の活動は、家族や町の人へのインタビューが中心。近所や仙台市の中心街に出て、道行く人に「働くこと」の意味を尋ね、「働くこと」には多様な価値観があることを学ぶ。
同校の特徴の1つは、学んだことや考えたことを、グラフや表など目に見える形で表現させる点だ。インタビューに使用するプリントも、生徒がイメージしやすいように、「生活のため」「社会のため」「夢・目標のため」の3つの指標のレーダーチャートにした(図1)。これは年間を通して繰り返し使われる。
「当初は『働くのは生活のため』と考える生徒が大半で、レーダーチャートの形もいびつです。しかし、学習を重ねる中で、次第に『社会のため』『夢・目標のため』という考えが芽生え、レーダーチャートがバランスのよい形になっていきます。図にすることで、自分の内面の変化を客観的に知り、職業観を深められます」(藤井先生)
この手法は、2年生以降の講演会や職場体験などの活動でも活用される。
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