中学校の現場から 保護者への情報発信


愛知県 名古屋市立城山中学校

1947年に開校。名古屋市の中心部に近く、校区には一戸建てやマンションなどの住宅街が広がる。教育意識の高い家庭が多く、学校・家庭・地域を結ぶ情報発信に力を入れる。

生徒数 ● 467名
学級数 ● 13学級(うち特別支援学級1学級)

WEB PAGE●http://www.shiroyama-
j. nagoya-c.ed.jp/

VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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中学校の現場から

生徒の履歴をつかみ、今の指導につなげる

保護者への情報発信

愛知県 名古屋市立城山中学校

学校の基本情報が1冊でわかる『城中NAVI』を全家庭に配付

 高校でも、学校便りやウェブサイトを通じて保護者に情報を提供しても、きちんと伝わっていなかったり、単純な認識の食い違いから保護者とトラブルになったりということがしばしばある。特に、3年生の卒業後の進路を決めるまでに、保護者に学校の指導方針への理解を得ておくことは、どの高校も課題としていることだろう。
 愛知県名古屋市立城山中学校では、保護者に学校の取り組みを理解してもらい協力を得るために、毎年、年度初めにガイドブック『城中NAVI』を全生徒の家庭に配付する。年度ごとに改訂を加えているが、その作業には保護者や生徒にも参加してもらい、保護者との関係づくりに生かしている

学校の配付物を集約し基本的な情報を網羅

 城山中学校が毎年、全生徒の家庭に配付している『城中NAVI』には、教科学習の内容、通学路マップ、各種連絡先、転出の手続きなど、同校で学校生活を送る上での基本情報が網羅されている(図1)。自治体から配られる「暮らしの便利帳」の学校版といえるが、永井聡教頭はその役割を次のように話す。

【図1】2007年度版『城中NAVI』の内容

図1:2007年度版『城中NAVI』の内容

 

 「学校が『学校便り』などで保護者に情報を発信しても、きちんと保護者の手に届いていなかったり、情報がその場限りで終わっていたりして、保護者が学校の全体像を理解しにくく、同じような問い合わせが何度も来ることもあります。学校の基本情報を網羅した冊子をあらかじめ配付すれば、情報のギャップが防げるのではないかと考えました」
 同校では生徒の成績に関する問い合わせが特に学期末に多くなる。しかし、『城中NAVI』であらかじめ学習指導の方針を示しておけば、保護者は過度な不安や疑問を抱かずに済む。また、学校に問い合わせをする場合でも、冊子に書かれた内容を基に、ポイントを絞って質問できるというわけだ。
 『城中NAVI』が初めて配付されたのは、2005年度のことだ。04年度に学校事務の山田貢主査が他校の職員の有志と大阪府吹田市立片山小学校を視察し、同校が保護者の意見を採り入れて作成した学校案内『片小ナビ』を手にしたのがきっかけだった。
 「『学校と保護者が一緒につくる』というスタイルがまず面白いと思いました。保護者は自分の中学時代と今の中学校が同じだと思いがちですが、現実にはかなり違っています。また、学校も思っているほどにはきちんと保護者の現状を把握しているわけではありません。学校案内づくりを通して、双方の理解を深められたらと考えました」(山田主査)
 校長に提案すると、すぐに『城中NAVI』作成が決定。保護者・生徒と一緒に編集を進め、学校のありのままの姿を知ってもらおうというコンセプトで制作された。原稿は、教師が作成したあとにPTA役員に目を通してもらった。校内では日常的に使われている「学活」「教育課程」などの言葉が保護者にはわかりにくいなど、学校にとっては意外な指摘を受けた。完成した第1号の中で、最も評価が高かったのは進路関係のページだった。
「以前は3年生で配っていた資料を『城中NAVI』に掲載しました。3年間の進路指導の流れや卒業後の進路などについて、『入学時に先のことが見えるのは助かる』という反響がありました」(山田主査)
 補助教材費や校外学習活動費など、毎月の学校徴収金の前年度実績を詳細に掲載したことも、保護者に好評だった。「どのような理由で、いくらお金がかかるのかをきちんと示すことで、集金時のトラブルを防止できていると思います」と山田主査は語る。


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