学年団の結束の固さは、岡崎高校の伝統の一つです。「自分のクラスだけでなく、ほかのクラスの生徒が相談に来たときも、その学年のすべての教師が担任と同じように答えることができなければ学年団ではない」と断言する先生もいたほどです。生徒指導や進路指導、教科指導などと分けて考えるのではなく「全員で生徒を丸ごと見る」という気持ちでした。
ですから、年齢が若いとか、赴任歴が浅いとか、そういったことには関係なく、すべての教師が「生徒のために、こうしてみてはどうか」と言い合える雰囲気が学校全体にあったと思います。
実際、水野先生たち英語科は、他教科の先陣を切って3年間を見通した「学習シラバス」をいち早く構築しました。今では多くの学校で取り組まれているようですが、まさに先駆けとして岡崎高校でもほかの教科に波及していきました。また、東京大や京都大、名古屋大などの教養課程の講義用テキストを取り寄せたのも水野先生のアイデアです。おかげで、今の授業を続けていけば、大学の英語にもしっかりとついていけることが実感としてわかりました。
あのころ、教師の頭の中には常に生徒がいました。生徒が幸福であれば、生徒を指導している教師も幸福だからです。教師の輪は、生徒を媒介にしてこそ成り立ちます。まさに、教師と生徒は運命共同体だったと思います。
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