幸せを追求するためには、進路について考えるきっかけを数多く提供することも大切である。従来、同校では進学・就職に向けた具体的な指導が始まるのは、2年次後半からだった。しかし、卒業までの1年弱では、じっくり腰を据えて将来に向き合う時間が取りにくい。
そこで、03年度に3年間の進路指導を体系化させた。1年次1学期には大学見学バスツアーや進路報告会などを盛り込み、早くから進路について考えられるようにした。一見、総花的とも思える豊富なプログラムだが、青山教頭は「多くの機会を与えること自体が大切」と話す。
「性格や感性は生徒一人ひとり異なります。同じ活動でも、ある生徒にはよい刺激になっても、別の生徒は何も感じないかもしれません。できるだけ多くの行事を設け、進路を考えるきっかけにさせたいのです」
また、新しい学習プログラムも取り入れた。「ベースとなる知識がなければ考えることはできません。学習は幸福を追求するための重要なステージ」と、青山教頭は強調する。
同校が学習指導の充実を図る上で留意したのは、いかに生徒の実態に応じた指導を行うかという点だった。そこで、まず全教科の年間授業計画を策定し、授業の狙いや内容を明確化。その上で、全教科の授業のポイントをまとめたオリジナルの教材をつくり、生徒の学力や理解度に応じた授業を行うよう心がけた。
教材は授業ごとに用意し、授業の要点だけでなく、復習教材として使える演習問題や家庭学習用の課題なども提示した。5教科についてはセンター試験に対応できるレベルだ。「近年、家庭学習の習慣がついていない生徒が増えています。どこがわからないのかが自分で明確になれば、学習にも前向きに取り組めるようになるでしょう」と青山教頭は話す。
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