未来をつくる大学の研究室 運動生理学
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
  PAGE 5/5 前ページ

大学院での学び
人間の姿勢に関する問題に取り組む

 学部生のころから一貫して取り組んでいるのが、「人間の姿勢制御」に関する研究です。人間は無意識に立っていますが、実は脳が頭部の位置や体の傾きなどのさまざまな情報を統合した上で、「この筋肉にはこれくらいの力を入れよう」「この位置に重心を整えよう」といった指令を出しています。卒業研究では、トップアスリートと一般の人とでは、バランスを保つ能力にどのような差があるのかを研究しました。
 大学院では、特に姿勢制御における脳の働きを中心に研究を進めています。現在は、人間がバランスを立て直すときの脳や神経のメカニズムを解明し、それを基にバランス感覚を高めるための運動方法を確立する研究に取り組んでいます。
 研究内容では最先端を走っている自負がありますが、それゆえの苦労もあります。ほとんど前例がないため、集めたデータを他分野の計算手法や分析手法に応用してみるなど、まさに手探りの状態で進めています。
 更に、研究室には脳波の動きを1000分の1秒単位で追う測定器など、非常に高度な機器類がそろっていますが、操作の習熟には相応の時間を要します。研究をするために学ぶことは山ほどあるのです。
 それでも、子どもや高齢者を対象に、バランス感覚を養うための運動プログラムを提示するという最終的な目標があります。研究室の中で終わるのではなく、実社会で役立てたいという思いで研究に取り組んでいます。

高校生へのメッセージ
何かに熱意を注ぐ経験が自分を成長させる
 高校時代に何かに熱意を注ぐ経験は、将来的に大きなプラスになると思います。その対象は、勉強や部活動など、自分が興味を持ったことならなんでもよいと思います。「一生懸命にやった」という思いが大切だからです。
 しかし、「その何かが見つからない」という高校生も少なくないでしょう。高校生のころは、周りの人と違うことをして目立つのを避けたい年ごろかもしれません。確かに協調性は必要ですが、それでも自分の個性は大事にしてほしいと思います。
 「面白い」「気になる」「好き」といった小さなことからでも、その興味を掘り下げていけば、自然とやりたいことは見つかるはず。そこから自分らしさやアイデンティティが芽生えるに違いありません。

  PAGE 5/5 前ページ