指導変革の軌跡 栃木県・私立文星芸術大学附属高校 英進科
栃木県・私立文星芸術大学附属高校 英進科

栃木県・私立文星芸術大学附属高校 英進科

「自己を敬え」「他人を敬え」「仕事を敬え」の「三敬精神」を基盤として、心身共に健康で、人間性豊かな日本人の育成を目指す。英進科は2001年度に設置。部活動も盛んで、特に野球部は甲子園大会に夏10回、春2回出場の強豪

設立●1911(明治44)年

形態●全日制/英進科のほかに普通科・総合ビジネス科/男子

生徒数(1学年)●約340名(そのうち英進科60名)

07年度進路実績(英進科)●国公立大は、筑波大、埼玉大、横浜国立大など14名が合格。私立大には、青山学院大、東京理科大、法政大、明治大、早稲田大など、延べ70名が合格。

住所●栃木県宇都宮市睦町1-4

TEL●028-636-8585

WEB PAGE●http://www.bunsei-
art.ac.jp/bunsei/


牧島勝利

▲文星芸術大学附属高校

牧島勝利

Makishima Katsutoshi
教職歴45年目。同校に赴任して7年目。英進科科長。「だれでも成果を上げられる進路学習システムを構築したい」

竹内昭夫

▲文星芸術大学附属高校

竹内昭夫

Takeuchi Akio
教職歴26年目。同校に赴任して8年目。英進科主任。「生徒の輝く瞳に囲まれながら、一緒に学んでいきたい」

染野幸弘

▲文星芸術大学附属高校

染野幸弘

Someno Yukihiro
教職歴・赴任歴共に13年目。英進科副主任。「ひたむきな努力を続けることが大事だと生徒には伝えたい」

雪野賢

▲文星芸術大学附属高校

雪野賢

Yukino Masaru
教職歴・赴任歴共に13年目。「『三敬精神』を基に、自分も他人も、そして仕事も大切にできる人間になってほしい」

VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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指導変革の軌跡98


栃木県・私立文星芸術大学附属高校 英進科「進路学習」

「進路指導は生き方指導」を理念に体系的な進路学習で意欲を高める

● 実践のポイント
放課後に自主学習時間を設け、予習→授業→復習の自ら学ぶ姿勢を育てる
「進路指導は生き方指導」を理念に、明確な目標を描かせる進路学習を展開
教師集団が連携して、少人数を生かしたきめ細かい指導を行う

入学者わずか2名 前途多難の船出

 2005年3月、その年の入試結果に英進科の職員室は歓喜に沸いた。
 筑波大、東京外国語大など国公立大合格者10名、早稲田大、上智大など難関大を含む私立大合格者延べ47名という実績は、文星芸術大学附属高校では初めてのこと。英進科設置からわずか4年の快挙だった。
 「この年に進学実績を出せなかったら、英進科は二度と立ち上がれない。その危機感が私たち教師を一つにしました」と、英進科副主任の染野幸弘先生は振り返る。
 同校は前身の宇都宮学園高校時代から「就職に強い学校」として商業教育と就職指導に定評があった。部活動では甲子園出場県内最多の野球部をはじめ、ほとんどの運動部が県内トップレベルの実績を持つ。
 しかし、就職と部活動に華々しい実績がある一方で、進学面では他校の後塵を拝してきた。その影響を如実に表していたのが、生徒数の減少だ。80年代末には2000名を超えていたが、その後減少し、英進科を立ち上げる直前は1000名近くになっていた。このままでは学校が立ち行かなくなる、という危機感が特進クラスである英進科の設置を決断させたのである。
 ただ、これまで高い進学実績を上げていない同校に向けられる受験生の目は厳しかった。
 01年度、県内公立高校での指導実績を買われ、英進科科長として招かれた牧島勝利先生は、設置初年度のその年の入学者数を聞いて唖(あ)然とした。1クラス15名として計3クラス分を募集したのだが、入学者はわずか2名だったのだ。1期生は、普通科の成績上位者から8名を編入させ、1クラス10名で始めた。
 「1年間、とにかく精一杯やって、それでもダメなら身を引くしかないと考えました」(牧島先生)
 実績をアピールしようにも、1期生が卒業する3年後まで待ってはいられない。
 牧島先生は市内の教育機関を訪れ、同科の指導力の高さをアピールした。必死の努力が実を結び、02年度入学の2期生では38名が入学した。


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