私を育てたあの時代、あの出会い

たまだ・しげき

たまだ・しげき

教師歴31年。国語科。札幌北高校で26年間教壇に立つ。進路指導主事、学年主任を歴任し、同校の進路指導の中心的役割を担ってきた。現在は札幌西高校に勤めている。

たけだ・あきら

たけだ・あきら

国語科教師として通算18年、北海道教育委員会に11年務めたのち、道内の進学校の校長を歴任。札幌北高校には93年から退職までの3年間赴任した。

VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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私を育てたあの時代、あの出会い

生徒を通して教師も学校も変わっていった

元・北海道札幌北高校進路指導主事◎玉田茂喜

だれしも駆け出しの時代がある。
今ではベテランと呼ばれる教師にも、指導に悩み、試行錯誤し、壁に突きあたった時期があった。
その経験から何を学び、今の指導に生かしているのだろうか?
札幌北高校で長年、進路指導の中心的役割を担ってきた玉田茂喜先生に当時の話をうかがった。

 札幌北高校は教師となって5年目に赴任した二つめの学校で、定年までの26年間勤めました。赴任して最初に感じたことは、「北高生はすごい」でした。前任校の生徒には授業で1時間かけてやっと理解してもらえた内容を、北高の生徒はわずか5分、10分で自分のものにしてしまう。その能力の高さに圧倒されました。「これは授業の準備が相当大変だぞ」と覚悟を決めたものです。
 半面、当時の指導は、生徒の力に頼っている部分がありました。前年と同じ指導をしていても、生徒は北海道大に合格するだけの力を持っていたからです。生徒も保護者も北海道内の大学を志望するのが当たり前という意識が強かったので、授業はもとより進路指導の方法も変える必要性を感じている教師は多くありませんでした。
 そうした状況に疑問を抱き始めたのは、赴任して3年経ったころです。生徒一人ひとりと接するうちに、それぞれ希望があり、違う力を持っていることに改めて気づかされました。私たちは高校3年間で生徒をしっかりと伸ばすような指導をしているのだろうか。生徒の潜在能力を引き出せているのだろうか…。そう考えたとき、生徒も教師も現状に甘んじず、高みを目指すためには、生徒自身がやりたいことを見つけ、道内外にかかわらず目標に合った進学先を探し出す、そして教師は精一杯その手助けをすべきではないかと何人かの先生と話し合いました。
 赴任10年目に進路指導部の担当になり、私たちはその思いを行動に移しました。模試の役割を明確にして学力状況をきちんと把握できる環境を整え、進路ニュースを毎週発行しました。さまざまな取り組みによって、生徒に目的意識を持った大学選びをするように呼びかけたのです。

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