枠組みをつくるだけでは、生徒の意欲を喚起し続けることはできません。生徒のモチベーションを高めて維持するためにも、教師の働きかけが大切です。
「よい教師は上手に説明する、更によい教師は自らやってみせる、最高の教師は生徒の心に火をつける」―では、どうすれば生徒の心に火をつけられるのでしょうか。やはり、個々の生徒に応じた指導が必要になると考えます。
例えば、本校の「探究基礎」では、生徒がテーマを決めて取り組む過程で、教師は最低限のアドバイスをするだけです。もちろん、答えは教えません。「自分に合った本を探して、読みなさい」「この研究はA君のテーマに近いから相談してみたら」というように、それとなく解決の方策へと導きます。生徒が失敗することもありますが、生徒が自分の力で乗り越えられるようにそれとなく導いていきます。教師から与えられるよりも、自分の力で成し遂げたという実感が「更にやりたい」という思いを高めるからです。
ここでも教師は、個々の生徒の学力や性格、気持ちの変化に対応することが欠かせません。何を提供するのか、あるいはしないのか、ということは、生徒から引き出すことが重要です。
そのためには、「連続性」が大切になります。生徒が今、取り組んでいることが、これからどのような意味を持つのか、生徒の成長にどのようにつながっていくのか。生徒のこれからを考えて、今、どのような働きかけが必要なのかを、教師は見極めなければなりません。そのために、教師は指導力を高め、教育技術を磨かなければならないのです。
教師は「生徒の可能性」にもっと関心を持つべきです。自分自身が教えたいことにこだわるのは素晴らしいと思いますが、生徒がしたいことを見つけるためにはどうすればよいのかということを、決して忘れてはなりません。
それは、教師から生徒への「連続性」と言えます。生徒は育てたように育ちます。生徒を見ることによって、自らの取り組みを振り返る。それは、生徒から教師への「連続性」であるとも言えるのです。 |