特集 生徒の未来、教師の役割
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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生徒の「知りたい」が 学ぶ意欲につながる

 本校では、「すべては君の『知りたい』から始まる」というメッセージを生徒に投げかけています。「知りたい」と思う前提には、基礎的・基本的な知識・技能の習得があります。生徒は習得した知識・技能を活用することを通して、その大切さと楽しさを実感していくのです。それは新たな興味・関心につながり、生徒の可能性を広げます。
 本校では、普通科の総合学習として「総合探究」、探究科の専門科目として「探究基礎」という独自科目を設けています。これらの授業では、生徒は自らが決めた研究テーマに沿って仮説を立て、自分で計画を立てて調査や実験を行い、結果を論文にまとめていきます。
 研究は決して楽しいだけではありません。テーマ設定の際に、担当教師や同級生からさまざまな指摘を受けて、何度も計画書を書き直したり、実験や調査の途中で壁にぶつかったりすることもあります。高校段階の知識では足りず、専門書に悪戦苦闘する場合も出てきます。
 しかし、苦労すればするほど、生徒の中に新たな学習意欲が生まれることも確かです。面白いことに、科学コンテストやコンクールなどで優秀な成果を収めた生徒ほど、学問に対して謙虚になります。研究を通して「自分が学んだことはほんの一握りの知識にすぎない」ということを知り、学問の奥深さを実感するのです。それが大学で学ぼうとする思いとなり、受験を乗り越える力にもなっているように思います。
 ただし、私たちがこの授業を通して生徒に身につけてほしいと思っているのは、「段取りをつける力」です。この力は将来、社会で必要になる力であり、本校の最高目標である「自立できる十八歳」を目指す上で重要な能力であると考えています。


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