特集 生徒の未来、教師の役割
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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学力の三要素は教育の「不易」

 2008年1月に公表された中教審の答申は、SIを考える上で重要な示唆を与えています。特に私が重要であると思うのは、学力の重要な要素として三点を明記したことです。それは、「基礎的・基本的な知識・技能の習得」「知識・技能を活用して課題を解決するために必要な思考力・判断力・表現力等」「学習意欲」の三つです。当たり前のことばかりですが、それだけに今、学校・教師に原点回帰が求められているとも思うのです。
 この十数年間、全国の高校ではさまざまな改革が行われてきました。しかし、一部には改革が枠組みの変更にとどまっていたこともあったように思われます。教師や生徒の意識を変えるために、枠組みを変えることは重要ですが、枠組みができたことだけに満足し、本来の理念を忘れてしまっては意味がありません。
 本校でも、時間の経過と共に、何のためにやっていることなのかが希薄になって、形だけを踏襲している部分も目立ってきました。何のために取り組むのか、ということを学校全体で共有することが大切です。
 その点からも、先に挙げた学力の三つの重要な要素は、教育の「不易」として、どの学校にも共通する教育活動の原点であると考えます。

写真
堀川高校の正面玄関を入ってすぐのアトリウム。校舎の北館と南館の間をガラスで覆い、最上階の6階まで吹き抜けになっている開放感のある空間だ。後方の旗に書かれている「滴」は、08年に卒業した改革7期生のテーマ。堀川高校では、毎年入学する生徒の物語を編んでおり、7期生の場合は「しずく」であった。「しずくは、木々を潤し、人を潤し、川となって海に注ぐ」「ふるえてひかるこぼれた水たちよ。きらめいてあゆめ」などの物語がある。荒瀬校長の筆による旗は、卒業する年の1月から3月まで掲げられる。

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