特集 「自立する高校生」をどう育てるのか
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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 【次号に向けて】
 生徒が自立に向かうために学校がすべきこと
  生徒が自立しにくい状況の中で、高校現場では、 どのような視点で自立を捉え、指導をしていけばよいのか。 次号(9月号特集・実践編)に向けて、その視点を挙げた。

ポイント1:「手を離すために手をかける」指導

 大学進学の実績を出すためには、「強制」してでも学習に向かわせる指導が必要になる。特に、自ら進んで行動をする生徒が少ない現状を踏まえると、「手を離すために手をかける」という指導の考え方が必要なのかもしれない。
 生徒が今すべきことにしっかり取り組むということに価値を置いた指導を積み重ねることで、生徒は日々直面する課題を解決していく力を身につけていく。学校全体でこうした自立に対する考え方を理解し、目標を共有した上で取り組めば、生徒の表層的な「よい動き」を促す指導から、生徒にさまざまな経験をさせ、生徒自身に考えさせる「待つ指導」を徐々に増やしていくことができるのではないか。

ポイント2:生徒の「自立の瞬間」を捉えて、教師の言葉で評価する

 生徒は教師の言葉で育つ。生徒の何気ない言動の中にある「自立の瞬間」を捉えて、教師が言葉にして生徒に伝えることが、生徒の自立を促進する上で重要だ。
 「生徒の自立の瞬間」は日常の中にたくさんある。例えば、今まであまり質問をしなかった生徒が職員室へ質問をしにきたり、奨学金の説明会に行った生徒が学習の記録に親への感謝の気持ちを書いていたり、といった何気ない行動だ。
 生徒のこうした言動を見逃さず、その言動が生徒の確かな自立に基づいたものであることを褒める。こうした教師の「言葉」による評価の繰り返しが、生徒を自立に向かわせるのではないか。

ポイント3:生徒が「悩んだり、葛藤したりすること」を重視した指導

 進路、学校行事、部活動など、どのような活動の目標であれ、その達成に向けて課題に悩んだり藤したりするからこそ、生徒に創意工夫が生まれ、主体的に考えるようになる。「○か×か」という一つの正解を効率よく導き出す方法の習得に重点が置かれすぎていないか、という大局的な観点で日常の指導を見直してみる余地がある。
 生徒に藤させる場面は、日常の授業の中でも工夫すればつくることができる。知識の伝達を目的とした効率的な指導だけではなく、例えば、グループ学習をしたり、ディスカッション形式を授業に取り入れたりするなど、生徒が中心となって考える場を工夫することで生徒の思考プロセスに揺さぶりをかけることができるのではないだろうか。

 多忙であり、教員数の制約などもある中で、生徒の自立をどう実現させるかということは高校現場の共通した課題であろう。ただし、自立を促す指導は、学校によって生徒の様子が違うため、その指導内容も異なるのは当然といえる。  次号(9月号)では、高校現場で生徒を自立に向かわせるために具体的にどのような指導が行われているのかを紹介する。


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