特集 「自立する高校生」をどう育てるのか
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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特集
「自立する高校生」をどう育てるのか

――実践編◎学校現場の事例から学ぶ

前号(6月号)の「実態編」では、 自立に向かいにくい高校生の意識や実態を
調査データと教師の声によって整理した。
では、実際に高校現場では、生徒を自立に向かわせるために
どのような実践を行っているのだろうか。
今号は、3校の事例を紹介する。

教師が語る
手をかけるべき指導、手を離すべき指導
とは何か

◎昨年度から、1年生の入学時に特に手をかけ、ソフトランディングしながら手を離していったらどうかという議論をしています。感覚的な表現ですが、1年生で7割、2年生で5割、3年生で3割の手のかけ方としています。(秋田県)

◎学習活動では、高2の2学期までは手をかけ、高2の3学期から徐々に手を離していくようにしている。ただ、生活状況の改善、学習の習慣化、意識の継続は大きなテーマである。進路指導をきちんと行うためには、面談指導には手をかけ続けるべき。生徒の気持ちを途切れさせないためにも重要だ。(佐賀県)

生徒が皆、一度に手が離れるわけではないので、意識的に主体的な学習活動を促す機会を設けている。2年生の修学旅行後、2年生2~3月の「3年0学期」、部活動引退後、文化祭終了後(7月)などだ。全体(学年)集会、個人面談、授業など、学年団で連携しながら生徒に働きかけている。(長野県)

◎基本的に2年生の9月以降、成績上位者には最低限の課題(基礎内容)のみを与え、自立した学習をし向ける必要がある。特に成績上位者に対しては、微に入り細にわたる指導から手を離す必要がある。教師が手をかけるべき活動は面談と考える。(長崎県)

◎行事でも、学習でも、生徒が自ら「段取り」ができるようになるまでは手をかけています。目標達成までのプロセスを、きちんと考えて構築できるようになると、生徒自身で道筋を立てられるようになるので、あとは自分の力で頑張らせます。他人とは違う、自分だけのやり方を見つけさせる。実行するのは本人ですから。(奈良県)

◎生徒に手をかけるのは、1年生の入学してすぐの時期と、2年生の秋から冬、3年生の秋です。1年生「中学生から高校生にする」、2年生「本格的に卒業後の生き方を考えさせる」、3年生「不安に付き合う」がテーマです。とにかく1対1で生徒の話を聞くしかない。偏差値や保護者の考えなどで、気持ちをごまかさない。教師が真剣に耳を傾けることによって、生徒が成長する時期はあるのです。(福島県)

◎生徒の学習習慣やモチベーションにかかわる指導は、ある時期からは手を離すべきなのかもしれません。しかし、ここに手をかけてこそ、教師と生徒の熱い信頼関係が生まれると思います。「いつまで手をかけるのか、いつ手を離すのか」という発想よりも、「手をかけつつ自立させること」あるいは「自立させるための手のかけ方」を模索していくべきだと思います。(滋賀県)

「教師が生徒の自立を感じる瞬間」

◎1年生の朝の10分間学習で、最初は教師に言われないと何もできなかったのに、教師が教室にいなくても、静かに始めているのを見たとき、自立の一歩を感じた。(静岡県)

◎無駄な質問が減ったり、質問のレベルが上がってきたりしたとき。本当に必要な質問だけをできるようになったとき、生徒の成長を感じる。(兵庫県)

◎思うような結果が出なくても、まわりの人や社会、環境などに原因を求めず、自己を見つめる態度をとったとき。(三重県)

◎表面的にしっかりした自己主張よりも、例えば学習法での工夫など、内省的な成長が感じられることの方が、本当の自立を感じる。(埼玉県)

◎自分の志望校の過去問題をコピーし、黙々と解いている姿やその目付き。自分なりに学習法を工夫しながら学習していると知ったとき。(長崎県)

◎ほかの生徒に教える場面を見たときや、後輩の指導にあたっている場面を目にしたとき。(兵庫県)

◎3年生が受験を迎えた時期や受験を終えたときに、世話になった人たちに素直に「ありがとう」と言えるようになったとき。それまで自分のことで頭がいっぱいで保護者に甘えて当たり散らしていたような生徒が、自分が受験できることや支え続けてもらったことに対して、感謝の意を言葉や態度で示すようになるのを見ると、大人になったなと思う。(滋賀県)

*上記、読者の声は、『VIEW21』高校版6月号読者アンケートより抜粋


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