特集 「自立する高校生」をどう育てるのか

鳥取県立倉吉東高校

◎2008年に創立100周年を迎えた伝統校。01年度に策定した全体構想「倉吉東高のかたち」に沿った教育活動を展開する。40年の伝統を誇る学園祭や、国内外の進学校を招いて現代社会の諸問題について議論する「国際高校生フォーラム」など学校行事にも力を入れる。

設立●高校:1909(明治42)年

形態●全日制・定時制/普通科・専攻科/共学

生徒数(1学年)●240名

08年度進路実績●国公立大には、東北大2名、東京大1名、名古屋大1名、大阪大3名、鳥取大23名、広島大6名、九州大5名など194名が合格。私立大には、慶應義塾大2名、早稲田大5名、同志社大3名、立命館大29名など延べ252名が合格。

住所●682-0812 鳥取県倉吉市下田中町801

TEL●0858-22-5205

WEB PAGE●http://www.
torikyo.ed.jp/kurae-h/

VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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【学校事例2】:鳥取県立倉吉東高校

人間教育を土台に
「自立した学習者」の育成を目指す

倉吉東高校が「自立した学習者」を育てるために教育の枠組み「倉吉東高のかたち」を策定したのは2001年度。それから7年経った今、変化する生徒の気質、学力に、同校ではどのように対応しているのだろうか。

「生意気さ」を失った生徒たち

 鳥取県立倉吉東高校は同県中部地区のトップ校として、毎年、200人近くの国公立大合格者が輩出する伝統校。そんな同校も近年の生徒の変化は、指導上の課題の一つだ。純朴で素直。これは今も昔も変わらぬ同校の生徒のよさだが、近年の生徒には「よい意味での生意気さが欠ける」と、名越和範校長は指摘する。
 「かつての生徒は、大人の言うことなんか聞いていられるか、というような背伸びをした気持ちを持っていたように思います。象徴的なのは生徒総会。以前は議長不信任を叩きつける生徒が多かったのですが、今は粛粛と信任票を投じるだけ。自分の考えを率直に他者にぶつけることが苦手になっていると強く感じます」
 そうした生徒の気質は授業風景にも反映されている。教師が意見を求めても、もじもじして答えられない生徒が増えた。かつての生徒には、何かを言おう、自分を表現しようともがく姿が見られたが、今の生徒はすぐに「わかりません」とやりすごしてしまう。必然的に教師から問いかける機会は減り、一方的に知識や考え方を伝える授業に陥りがちだ。
 加えて、近年は学力層の拡大も大きな課題だ。少子化という構造的な問題に加え、鳥取県では07年度に学区が撤廃された。
 「かつては、学区内の上位10%程度の生徒しか入学していませんでしたが、近年は20%にまで広がっています。成績下位層の拡大はもちろん、上位層の中にも家庭学習の習慣や、もっと上を目指すという強い意志で学習した経験がほとんどない生徒が増えました」(河田雅志教頭)
 この課題解決には、入学定員を減らすか、入学した生徒をこれまでと同じレベルまで引き上げるかのどちらかしかない。同校は後者を選んだ。
 「近道は入学定員減。しかし、現在の6クラスを更に減らして、これまで通り学校行事や部活動を維持するのは難しい。学校の活力を維持するためには、適正規模を保ちながら相乗効果を発揮させ、生徒の力を高めていくしかない」と名越校長は強調する。

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