同校の躍進を支える取り組みの一つは、前回の記事で最も読者の反響が大きかった「関高学力スタンダード」だ。教師個々の指導のぶれをできるだけ少なくするために、「関高生としてこれだけは身に付けさせたい」という内容を厳選した独自教材だ。1年生には国・数・英、2、3年生には国・数・英・理・地歴の分をつくる。
内容の定着度は教科ごとに行う「スタンダードテスト」で測る。冊子の完成当初は3年生での実施を見送るなど、足並みがそろっていなかったが、今では国・数・英は全学年で実施し、学校全体の取り組みとして定着している。フロンティア事業開始から改革を支えた国江秀吉先生は、「スタンダードテストは、合格するまで何度も追試を行います。成績下位層を徹底的に支援し、学力の底上げを図ることが学校全体の勢いになっています」と強調する。
フロンティア事業指定以降の4年間の模試結果を見ると、成績上位層が厚くなり、下位層が大幅に減っている。スタンダードテストの活用と習熟度別学級編成により、学力層に応じたきめ細かな指導を実現した結果だろう。
一方、生徒の学習意欲を意識の面から支えているのが、志望大別の進路指導だ。「名古屋大・岐阜大」「東京大・京都大」の大学別入試研究会は、近隣の高校と連携して、教師が入試問題を分析し、生徒に入試対策を指導する取り組みだ。特に「名古屋大・岐阜大」の入試研究会は、当初、関高校が中心となって、美濃地区の数校の進学校と開催していたが、次第に他学区からの参加校が増えた。08年度の夏には県下の全高校に呼びかけたところ、15校200名以上の生徒が集まった(写真)。小邑(こむら)政明校長は、「特に難関大については、1校だけでは志望者が少なく、生徒同士の刺激に乏しい。学校を越えた交流によって、生徒はより高い意識を持つようになっています」と評価する。
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