指導変革の軌跡 岐阜県立関高校「学力向上フロンティア事業の継承」

VIEW21[高校版] 新しい学力向上フロンティア事業の継承のパートナー
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職員会議を短縮して時間を捻出

 こうした実情は、二つの課題として整理できる。教師の多忙感と、取り組みの継承の難しさだ。フロンティア事業を終えた今、同校の教師はこの難題に果敢に挑戦している。
 近年、教師の多忙感は募るばかりだ。新しい取り組みをしたくても、時間的・精神的な余裕がなく着手できない場合も多い。解決の一策として、同校では職員会議をはじめとして多くの会議の時間を短縮させた。具体的には、会議前に担当者が集まり、内容に応じて3分、5分と持ち時間を決める。担当者は資料の配付で済むこと、説明が必要なことを明確にし、時間内に伝達事項を伝えられるよう段取りをしておく。
 「要件は簡潔に伝えることが大切。それは、授業でも同じです。話せば話すほど、授業はわかりづらくなる。日常の会議において、わかりやすく話す訓練を意識的に続けることで、時間の使い方がうまくなり、授業改善にもつながります」と、小邑校長はねらいを話す。
 こうした取り組みの結果、職員会議の雰囲気は大きく変わった。例えば、「重要な点は○○と○○。前者は解決済みなので資料を入れています。後者は議論が必要なので、担当者は後日集まって話し合いましょう」というように、教師の発言は的確かつ簡潔になり、1~2時間かかっていた会議が30分程度に短縮されたという。

生徒目線で他教科の授業を見て指導改善につなげる

 限られた時間を有効活用する方法として、08年度には、教科内での授業見学を行うほかに、1週間の期間を設けて、他教科の授業見学を行った。
 「担当教科では説明が少し雑でも理解できるので、授業の良し悪しが見えにくい。他教科の授業なら、教師も生徒と同レベルですから、生徒と同じ目線で『ここは説明不足』『ここはわかりにくい』という指摘ができます。しかも、特別な準備が必要ありません」(小邑校長)
 他教科との共通点を見いだすことで、自教科の指導改善にもつなげられると、教務主任で英語担当の杉原整先生は指摘する。
 「『It is true~but』という構文がありますが、私が見た国語の授業でも全く同じ構文を説明していました。英語の授業で『国語で習ったのと同じように、〝しかし〟、〝but〟の次が大切』と補足すれば、別々の知識を関連付けて覚えられます。生徒の知識を整理し、理解と定着を促す上でも、他教科の授業は参考になりました」


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