もう一つの課題は取り組みの継承だ。フロンティア事業が終了した05年度から08年度までで、半数の教師が入れ替わった。フロンティア事業を通して確立した指導スタイル、一つひとつの取り組みに込めた思い、そうした「フロンティア精神」を新たに赴任した教師にいかに継承していくかが、事業を推進してきた教師の切実な課題となっている。
07年度に赴任した進路指導部副部長の羽賀均先生は、赴任時の印象を次のように語る。「生徒の志望を実現させようとする先生方の熱意、教師を信頼して学びに向かう生徒の意欲を強く感じる半面、学年によって手法が微妙に異なることも感じました。教師や生徒が変わっても、『関高』として変わることのない方法を確立し、組織全体が有機的に機能するように工夫すれば、更に素晴らしい学校になると感じました」
そこで、同校は組織力の強化を模索している。分掌と学年が連携して役割分担を明確にし、学校全体が機能する体制を整える。それにより、教師の労力を削減すると共に、中心的なメンバーが異動しても取り組みが継続できるよう改善していくことがねらいだ。
布石は着々と打っている。学年に任されていた授業評価アンケートの作成や集計は、06年度に教務部に移管された。大学別入試研究会も、かつては学年会が企画を立てていたが、今は進路指導部が受け持ち、学年と連携しながら行っている。
「工夫次第でできることはまだたくさんあるはず。忙しさや意思疎通の難しさを嘆くのではなく、新しく赴任された先生方からもアイデアを出してもらい、新しいフロンティアの活動に生かしたいと思います」と、杉原先生は意気込みを語った。 |