指導変革の軌跡 奈良県・私立橿原学院高校
VIEW21[高校版] 新しい進路意識向上のパートナー
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教師一人ひとりの情熱が生徒の力を伸ばす

 今後の課題は、生徒がチューター制をより活用できる環境を整えることだ。現在は、生徒とチューターとがかかわるのは生徒が希望するとき、あるいはチューターが気になる点があるときなどが多い。今後は、チューターと生徒が向かい合う場や時間を設定するなどして、生徒が一層チューターにアプローチしやすい条件を整備していく。チューター制が若手担任の指導力向上に寄与している点でも、指導ノウハウを全校的に広め、定着させるための工夫も必要と考えている。
 松下先生は、具体的なノウハウだけでなく、指導にかける「情熱」を共有することが、目下の課題であると明言する。
 「時間と手間をかけても、『生徒の力を引き出したい』という熱意がなければ、生徒は伸びません。私たちの目標は、すべての生徒に『橿原学院に来てよかった』と思ってもらうこと。そのために、自分に何ができるかということを、教師一人ひとりが真剣に考え、話し合えるような学校文化をつくっていきたいと思っています」

若手教師と積極的にコミュニケーションをし
「情熱」を共有したい

特進コース主任 上田修平


◎2007年度、私は3年生の特進コースの担任をしました。クラス運営や進路指導の上で、心強い味方だったのがチューターの先生方です。特に、ベテランの先生方のアドバイスには、生徒はよく耳を傾けてくれるので、指導が浸透しやすくなりました。私では聞き出せない生徒の本音を引き出してもらうことも多く、クラスの状況を把握する上でも参考になりました。例年以上の進路実績を残せたのも、チューターとの連携がうまくいったからだと思います。
 ベテランの先生方は、巧みに生徒の心の中に入っていきます。チューターの一言で、生徒の態度ががらりと変わることも珍しくありません。あれほどかたくなだった生徒が、自信を失っていた生徒が、チューターの先生と話したあと、晴れ晴れとした顔で帰ってくる。私自身のスキルアップのためにも、チューターの先生に具体的な会話の内容や、そのときの生徒の様子を聞くようにしています。ベテランの先生は生徒がどのような思いを抱いているのかをしっかり聞き、その上で諭すように話されていることがよくわかりました。
 今後は、ベテランの先生方から教えていただいたノウハウを、私自身が若手の先生方に伝えていく番です。学校全体で「情熱」を共有していくためにも、今以上に、教師同士でコミュニケーションを密にしていきたいと思っています。


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