未来をつくる大学の研究室 食品衛生学と薬学の融合
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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研究の難しさ
病理学で学んだ知識を食に生かす

 難しいのは動物実験です。薬によるストレスについて調べるためには、薬以外のストレスが一切かからないようにします。しかし、技術が未熟だと、薬を飲ませる行為自体がマウスにストレスを与えます。一度で手早く薬を投与できるようになるまでは苦労しました。
 食品や人体に関する知識を学び直すのも大変でした。食品衛生学には生化学や病理学などの知識が必須ですが、生物資源科学の出身ため、そうした知識はありません。生物は高校3年生までに習った程度でしたので、足りない知識を洗い出し、改めて勉強しました。
 しかし一方で、学部時代から食品や栄養を中心に学んできた人とは異なる角度からアプローチできます。食品成分をケミカル(化学物質)として捉えるだけでなく、環境や農業などの視点も取り入れながら研究を進め、自然と環境との共存や、豊かな食生活を保持しつつ健康増進のためのノウハウを多くの人に提供したいと考えています。
写真2
写真2 蛍光顕微鏡での観察風景。マウスから採取した血液や臓器を顕微鏡にかけ、右側のディスプレイに写して確認する
高校生へのメッセージ
したいことをはっきりとさせよう
 元々マナティなど海のほにゅう類の保護に取り組みたいと考え、環境分野に進みました。しかし、学部では植物の病気、今は食品を研究しています。食品の面白さに気づいたのは学部で植物病理学に出合い、植物の持つ素晴らしい力を知ったころからです。
 将来の夢を描くのは、難しいものです。大切なのは、自分が何をしたいのかをいつでも明確にしておくこと。したいことを追究していけば、きっと自分に合ったテーマにめぐり合えると思います。

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