未来をつくる大学の研究室 食品衛生学と薬学の融合

中村美登里

中村美登里さん

なかむら・みどり
静岡県立大大学院生活健康科学研究科食品衛生学研究室博士前期課程2年(静岡県立焼津中央高校出身)

VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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大学院生が語る

食生活を楽しみながらの健康維持を支えるために

研究のテーマ
胃粘膜への障害を地産の食品で軽くする

 学部時代は島根大生物資源科学部で植物病理学を専攻しました。病気に強い作物を研究していましたが、私はむしろ、抗菌性物質など植物体内で生産されるよい物質が、その植物を食べる人にもよい作用を及ぼすことに興味を抱きました。食品衛生学分野に進んだのは、そうした植物成分を食に生かす研究をしたかったからです。
 人間は、生活の中でさまざまなストレスにさらされています。私は主に、ピロリ菌感染や鎮痛剤などの薬物によるストレスから引き起こされる胃粘膜の障害を、ワサビ葉やお茶、ミカンの皮などの抽出物によって軽減できるか否かを、試験管実験や動物実験により、検討しています。
 体によい食品を多くとればよい、というわけではありません。お茶も、濃度が高ければ胃粘膜の障害を強く起こしますが、ほかの食品と組み合わせて摂取することによって、相乗効果が生まれる場合もあります。私たちの動物実験の結果から、お茶には胃粘膜の出血を抑える働きがあり、陳皮(ちんぴ・ミカンの皮を干したもの)には胃の浮腫を抑える働きが見いだされています。両方を適当な濃度で組み合わせると、出血と浮腫を同時に抑えられることがわかりました。
図

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