薬品と食品の相互作用の解明も、研究テーマの一つです。例えば、狭心症の患者には血液をさらさらにするために抗凝固剤のワルファリンを投与しますが、納豆などを同時に摂取すると、薬の効果が著しく下がってしまいます。納豆に含まれるビタミンK(※6)には血液を凝固させる作用があるため、薬の効果と相殺されてしまうからです。逆に、ビタミンAなどを摂取すると、ワルファリンの効果は増強されます。
今、医薬品と食品の相互作用や安全性について体系的研究は十分にされていません。今後、医薬品の作用を増強する食品、逆に減少させる食品などの組み合わせを一つずつ解明し、データベース化して世界に発信していく予定です。
超高齢化社会が進み、健康への関心はますます高まっています。それ故、薬学と食品科学の連携は、更に重要になっていくでしょう。また、高次機能性食品(※7)の開発や販売についても、薬学と食品科学の両面からのアプローチが必要です。薬局では医薬品だけでなく、健康食品も扱っていますが、薬剤師が食品についての専門知識を持っていない場合もあります。人々が安心して薬局を利用するためには、薬剤師にも食品に対する理解は欠かせなくなっています。
今後、薬品・食品双方の知識や技術、研究の方法論を身に付けた人材は、ますます求められるようになることでしょう。そして、その活躍するフィールドは更に広がっていくものと確信しています。 |