VIEW'S REPORT
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「東アジア高校英語教育GTEC調査2006」+韓国現地調査より

韓国の高校英語教育の実態

日韓高校生の英語コミュニケーション能力と韓国英語教育の現状

日韓の高校生の英語力は、リーディング、リスニングにおいて韓国の高校生の方が高いレベルにある。こうした結果が、ベネッセ教育研究開発センターで実施した日韓高校生の比較調査で明らかになった。
小学校英語が導入されて12年目を迎え、韓国の英語教育はどのような進歩を遂げているのだろうか。調査の分析結果を踏まえて実施した、韓国での現地調査の模様をレポートする。

英語コミュニケーション能力の高さが際立つ韓国の高校生

 ベネッセ教育研究開発センターでは、2006年7月~07年1月、絶対評価スコア制テスト(GTECジーテック for STUDENTS)と質問紙を用いて、日本・韓国の高校英語教育に関する実態調査を行った(「東アジア高校英語教育GTEC調査2006」…以下≪GTEC調査2006≫)。
 特徴的な点は、大きく二つ。一つは、英語コミュニケーション能力の差である(図1)。3技能のうち、リーディングとリスニングでは、韓国の高校生が上回っており、平均スコアで見るとリーディングでは52.3点、リスニングでは23.9点(いずれも320点満点中)もの差があった。特にリーディングでの差は大きく、韓国の生徒の56.1%が成績上位層であった。

図1
(出典/ベネッセ教育研究開発センター 『東アジア高校英語教育GTEC調査2006報告書』)

 もう一つの特徴は、英語使用経験の差である。図2は学校外の日常生活で英語を使う場面や活動について尋ねた結果だが、韓国の生徒の経験率は、日本の生徒より約30~60ポイント高かった。英語圏への渡航経験がある生徒に現地での英語使用経験を聞いた結果でも、ほとんどの項目で韓国が日本を上回った。
 以上の結果を踏まえ、ベネッセ教育研究開発センターでは08年3月、韓国での現地調査を実施した。調査に当たって、定量調査の裏付けとなる要因を探るため、次の仮説を立てて臨んだ。

図2
*韓国では、「学校外の日常生活で英語を使う場面や活動に関する質問」という形で尋ねている。また、日本と韓国で異なるアンケート項目のため、共通する項目のみ集計した。 *日本:「(経験が)ない」「無答不明」以外の%。韓国:「(買ったことがない、したことがない、等)」「無答不明」以外の%
(出典/ベネッセ教育研究開発センター 『東アジア高校英語教育GTEC調査2006報告書』)

 英語コミュニケーション能力の違いについては、(1)学校内外における英語学習量の多さ、(2)大学修学能力試験の影響(以下、修能試験。日本のセンター試験に当たるが、すべての大学進学希望者が受験するため、その出題傾向が高校生の英語能力を左右する可能性がある)、(3)小学校英語導入の影響。
 英語使用経験については、それがコミュニーション能力の向上に結び付いていると考え、次の3点を想定した。(4)韓国では社会全体で「英語ができなければならない」という風潮が強い、(5)ICTの普及によって気軽に英語に触れられる、(6)学校において積極的に英語を使わせる指導が行われている。
 なお、今回の現地調査では、小学校(初等学校)1校、高校4校に訪問し、授業観察および生徒・教師インタビューを実施。加えて、KICE(カイス 韓国教育課程評価院)に行政レベルでの施策と今後の展望を聞いた。調査には、「GTEC調査2006」の調査企画・分析メンバーである昭和女子大の緑川日出子教授、東京外国語大の長沼君主(なおゆき)講師があたった。本コーナーでは高校取材を中心に、以下、調査の概況を報告する。

 GTEC for STUDENTS:ベネッセコーポレーションが行う、小6~高3生を対象とする英語検定。全国37万人が受検(2007年度)

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