特集 つなぐ教師の教科指導力
植田美智留

岐阜県立関高校

植田美智留

Ueda Michiru
教職歴13年。同校に赴任して2年目。英語担当。08年度の難関大入試問題教科別研究会で英語を担当。

VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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進路指導の情報交換の場にも

 岐阜県では教師向けに大学進学指導連絡協議会主催で「難関大入試問題教科別研究会」も開く。東京大・京都大・名古屋大の入試問題を教科ごとに数校の教師が分析した結果を報告し、話し合う。毎年8月の実施日に向け、担当となった教師らは連絡を取り合い、分析をまとめる。東京大英語を担当した関高校の植田美智留先生は、担当者同士で英語指導についてとことん話し合った。
 「英語の指導についてどう考えているのか、今までほかの先生と話し合ったことはありませんでした。しかし、入試分析という課題があり、話すべき状況になったことがかえってよかったと思います。育てたい生徒像や指導に対する考え方など、自分と同じ意見あり、違う考えありで、大いに刺激を受け、英語指導について改めて考える機会となりました」
 難関大入試問題教科別研究会は、生徒対象の二つの研究会と連携させ、講義内容と生徒の反応も含めた報告会に位置付けることも検討中だ。
 また、各研究会に参加した教師の中から有志が集まり、東京大(数学・英語)の予想問題や、07年度からは名古屋大(数学)の入試問題を研究し練習問題を作成している。数校の教師が一堂に会する機会は限られるが、各自が案を持ち寄って練り上げる。予想問題は各校に配付し、センター試験後の個別試験対策の補習の教材に活用される。生徒は、自分たちの先生が自分たちのためにつくってくれた教材とあって、教師の思いに応えようと真剣に取り組むという。
 このように、岐阜県では個別の取り組みが発展し、学校の枠を超えた教師の研鑽(さん)の場として機能し始めた。研究会では進路指導などの情報交換も盛んに行われているという。教師同士のつながりは、自校のみにとどまりがちな教師の意識を確実に変え、「岐阜県の生徒」を育てるという意識にまで高まっている。「受験は団体戦」とよくいわれるが、これらの取り組みはその岐阜県版といえる。

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