思い起こせば、小学校のころから自然現象を見ることが大好きでした。自然の面白さを教えてくれたのは担任の先生です。先生に連れられ自然観察に出かけ、昆虫に近付いてそれらが動く様子を観察したり、川の流れを眺めたりしたことを覚えています。外で遊ぶことが好きでしたが、体が弱かった私は家で寝ていることもよくありました。そんなときでも天井の美しい木目を眺めたり、雨の日は庭の水と雨粒がそこにつくる波紋を見たりしては、奇麗だなと思っていました。
中・高校時代になると、数学や物理のように答えのはっきり出る教科が好きになっていきました。物理では、太陽や月がどんな動き方をしているのか、飛行機から飛び降りたらどんな速さで落ちていくのかといったことが、たった一つの法則で計算によって正確に予測できます。私は、それがとても面白かったのです。中でも大学3年生のときに習った量子力学にとても魅力を感じました。電子は粒子だと思っていたのですが、授業で「電子は波だ」と教えてもらい、「本当に電子が波ならば、その形をこの目で見たい」と考えるようになりました。少年のときに見た水溜まりの波紋のような美しさがあるのではないかと思ったのです。
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