VIEW'S REPORT
吉田優治

千葉商科大学サービス創造学部長

吉田優治

Yoshida Yuji
青山学院大学大学院経営学研究科博士課程修了。専門は、経営管理論、経営学習論。アメリカ経営学会経営教育部会日本担当理事、日本経営教育学会常任理事・国際委員長。2009年4月に新設されるサービス創造学部の学部長に就任予定。

VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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VIEW'S REPORT(1)

大学と社会をつなぐ人材育成への挑戦

千葉商科大学サービス創造学部の取り組みから

少子化の中、学生の確保は多くの大学の課題である。
しかし、同時に大学には社会に必要な人材を育てるという使命がある。
今号のVIEW'S REPORT(1)では、実社会で提供される「サービス」を学び、社会で活躍できる人材育成を目指して2009年4月に新設される千葉商科大学サービス創造学部の取り組みから、大学と社会とをつなぐ人材育成の在り方を考える。

大学教育の役割は実社会との
出合いの場を継続的に提供すること

学問中心の大学教育に疑問を投げかけたい

 大学はいうまでもなく、社会を支え、未来をつくる人材を送り出す高等教育機関である。大多数の学生が卒業後に企業等へ就職することからも、大学教育では社会に必要とされる人材を育成することが重要である。しかし、日本の大学教育は社会から求められている教育に即していないのではないかと、千葉商科大学サービス創造学部長の吉田優治教授は疑問を呈する。
 「今の大学教育は、学問知の育成に偏っていて、実践知の育成があまりなされていません。学者の育成が目的ではなく、大多数の学生が将来、企業社会に出て行く人材である以上、実践知を学べる場をどう提供するのか、大学には工夫が必要なのです」
 現在でも、多くの大学では、インターンシップや講師の派遣など、企業との連携によって学生に実践の場が提供されている。しかし、吉田学部長は、それらは単発のイベントに終始し、本当の意味での「産学連携」ができていないと指摘する。
 「企業講演会で取締役の話を1回聞いただけで、学生は企業の何を体験したというのでしょう。インターンシップで1週間企業で仕事をしたといっても、所詮はお客様扱いです。企業にとって手間が増えるだけで、学生も企業も何のメリットも感じられていないのが実態なのです」
 大学の学問重視の姿勢を象徴する一つが、教員の評価システムだ。大半の大学教員は研究や論文などの学術的業績に基づいて評価されている。大学教育への貢献や実績などについて評価する仕組みが、今の大学にはないと、吉田学部長は憂慮する。
 「教育は大学の重要な使命の一つであるにもかかわらず、教員は学問上の実績ばかりが評価されています。そうした姿勢は、教育の質にも影響すると思うのです」

大学紹介

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