こうした課題認識を基に構想が練られたのが、千葉商科大学が2009年4月に新設する「サービス創造学部」だ。サービスを「心地よい」「利便性」「快適」を提供するものと捉え、サービスマインドやサービススピリットを持つ人材の育成を目指す。その背景として、社会に求められている人材に必要な要素を考えたとき、今の大学教育に足りないのは「サービス」の教育と捉えたからだ。
「国内総生産の7割以上をサービス業が占めています。また、『使いやすい』『便利』といった観点で商品がつくられていることを考えると、製造業だとしても『サービス』の発想は必要です。しかし、『サービス』を専門に扱う大学はありません。大学は『サービス』の研究と教育をないがしろにしてきたのではないでしょうか。新しい学部では、サービス業に限らずあらゆるサービスを追究し、日本の『サービス』のクオリティを高めていきたいと考えています」と、吉田学部長は意欲を見せる。
新学部では企業との連携に果敢に挑戦する。教職員が1社1社を訪れ、企業にどのような協力をしてほしいか、それが学生にどのような効果をもたらすのかを具体的に伝え、企業と共にサービスマインドを持つ人材を育てていきたいという思いを伝えた。この構想に賛同した企業と「公式サポーター企業」として協定を結び、4年間継続して教育に取り込む。
「企業と大学の両者がWIN・WINの関係となり、活動を長続きさせることが重要です。それが、大学と社会を真の意味でつなぎ、学生に学習効果のある実社会の体験の場を提供できるのです」(吉田学部長)
「実社会との出合い」という観点では、吉田学部長は卒業生の更なる活用を提唱する。
「卒業生は大学にとって強力なサポーターです。自学を理解し、愛校心のある卒業生をメンターとして積極的に活用すべきだと考えています。卒業生を大学に引き寄せることは、彼らの再教育にもつながるというメリットもあります」
|