VIEW'S REPORT
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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サービスマインドを持つ人を企業と共に育てたい

 こうした課題認識を基に構想が練られたのが、千葉商科大学が2009年4月に新設する「サービス創造学部」だ。サービスを「心地よい」「利便性」「快適」を提供するものと捉え、サービスマインドやサービススピリットを持つ人材の育成を目指す。その背景として、社会に求められている人材に必要な要素を考えたとき、今の大学教育に足りないのは「サービス」の教育と捉えたからだ。
 「国内総生産の7割以上をサービス業が占めています。また、『使いやすい』『便利』といった観点で商品がつくられていることを考えると、製造業だとしても『サービス』の発想は必要です。しかし、『サービス』を専門に扱う大学はありません。大学は『サービス』の研究と教育をないがしろにしてきたのではないでしょうか。新しい学部では、サービス業に限らずあらゆるサービスを追究し、日本の『サービス』のクオリティを高めていきたいと考えています」と、吉田学部長は意欲を見せる。
 新学部では企業との連携に果敢に挑戦する。教職員が1社1社を訪れ、企業にどのような協力をしてほしいか、それが学生にどのような効果をもたらすのかを具体的に伝え、企業と共にサービスマインドを持つ人材を育てていきたいという思いを伝えた。この構想に賛同した企業と「公式サポーター企業」として協定を結び、4年間継続して教育に取り込む。
 「企業と大学の両者がWIN・WINの関係となり、活動を長続きさせることが重要です。それが、大学と社会を真の意味でつなぎ、学生に学習効果のある実社会の体験の場を提供できるのです」(吉田学部長)
 「実社会との出合い」という観点では、吉田学部長は卒業生の更なる活用を提唱する。
 「卒業生は大学にとって強力なサポーターです。自学を理解し、愛校心のある卒業生をメンターとして積極的に活用すべきだと考えています。卒業生を大学に引き寄せることは、彼らの再教育にもつながるというメリットもあります」

新しいサービスの創造にはビジョンとパッションが必要

 サービス創造学部は、社会に求められていることを新しい観点・スタイルで学べる学部といえる。そうした学びの場に集う学生たちに求められる能力・資質は何だろうか。
 「日本の社会が『ものづくり』から『サービス』へと産業構造が変化している今、他人と異なることを学び、異なる発想をし、異なる行動をする人間が求められています。既存のものを超え、新しいものを創造するためには、夢である『ビジョン』と、困難があっても実現させようという熱い心『パッション』が何よりも重要です。基礎学力はもちろん重要ですが、必要なのは、たくさんの人と話をして、多様な経験を積むことです。新学部の入学審査で重視するのは、多面的に一人ひとりの力を測ることです。多様な考え方、価値観、経験、意欲などを持つ学生が集まり、ぶつかり合い、切磋琢磨する。そうした学生たちの交流の場に企業の全面的な協力を得ることによって、より効果的な学びになっていくと考えています」 (吉田学部長)


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