VIEW'S REPORT
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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VIEW'S REPORT(1)

英語ディベートを通して全国に広がる友情の輪

第3回全国高校生英語ディベート大会

2008年12月、岐阜県の岐阜聖徳学園大において、
「全国高校生英語ディベート大会」が開かれた。
高校生対象の全国規模の英語ディベート大会としては、
本大会が国内唯一のものだ。
第3回となる今大会では、全国24都道府県から62校が集い、
2日間に渡って熱い論戦が繰り広げられた。

世界大会出場権を賭けた日本で唯一の全国大会

 「全国高校生英語ディベート大会」は、全国高校英語ディベート連盟主催、GTEC for STUDENTS(株式会社ベネッセコーポレーション)共催による、高校生対象の全国的な英語ディベート大会だ(注1)。本大会の実施以前は、各地方で英語ディベート大会が実施されていた。2005年に11都県26校が参加してプレ大会を実施し、第1回大会は17都府県38校、第2回大会は22都道府県50校と、回を重ねるごとに参加校を増やしていった。第3回の今大会には、北海道から鹿児島までの24都道府県から62校が参加した。
 本大会はWSDC(World Schools Debating Championships)に公式認定され、今大会から世界大会の日本代表選考会も兼ねることになった。優勝チームには、09年2月にアテネで開催される世界大会への出場資格が与えられる。また、第1回大会から文部科学省の後援を受けており、名実共に高校生を対象とした英語ディベートの全国大会として位置付けられたといえる。
 本大会で採用しているディベートの形式は、議論の仕方を学び、相手の主張を正しく理解することを目的とした「アカデミックディベート」だ。ディベート時間は1回約40分。2チームが肯定側と否定側に分かれて対戦する。肯定側が肯定の理由を述べたのち(4分)、否定側からの質疑(3分)→否定側の立論(4分)→肯定側の質疑(3分)というように、規定の持ち時間、順番に沿って議論。ジャッジがどちらのチームがより論理的で説得力が高いかを判定して勝敗を決める。参加チームは1校につき1チームで、出場は原則4人。予選4試合中2試合が終了した段階で、残り2試合をパワーペアリング(注2)で行い、上位8チームが決勝トーナメントに進む。
 今回のテーマは「日本は、法的成人年齢を18歳に引き下げるべきである。是か非か」。英語ディベートでは、英語が堪能なチームが必ずしも勝つとは限らない。限られた時間の中で、相手の主張に耳を傾けつつ明確な根拠を示し、いかに自説を論理的に構築できるかが勝敗の鍵を握る。

注1) 詳しくは、全国高校英語ディベート連盟のホームページ http://henda.sakura.ne.jp/
または、GTEC for STUDENTSホームページ http://gtec.for-students.jp/debate/index.html
注2) できるだけ勝数が同じチーム同士が対戦し、当たりの善し悪しの影響を減らす対戦方法
大会運営委員
今井りえ子先生 岐阜県立益田清風高校

◎本大会の最も重要な意義は、生徒たちが他校の生徒との交流を通して刺激を受けることにあります。参加した生徒のほとんどが、「同世代にこれほど英語を駆使できるすごい生徒がいるのか」という大きな驚きを体験します。その驚きは、新たな目標にもなるのです。英語の学習を頑張る生徒にとって、目標が示されることは非常に大きな意味があります。
 ディベートの練習を通じて、生徒の実践的英語力と論理的思考力は飛躍的に伸びます。自分が組み立てた理論を「伝えたい」と強く思うと同時に、相手の意見を懸命に「理解しよう」とします。この2つの気持ちが英語学習の最大の動機付けになるのです。
 「Challenge English」は本大会のコンセプトの1つです。スポーツや文化活動の大会と同様、自分が身につけた英語力をディベートという「競技」の中で更に磨いていく。試合を重ねるごとに成長していく生徒たちには目を見張るものがあります。全国の難関校の生徒と対等に渡りあうことができれば、大きな自信にもつながります。 勤務校でも英語ディベートを取り入れて4年が経ちました。生徒は何事にも積極的になり、常に上を目指すように成長していきました。ディベートの面白さに気づいた生徒が、その魅力の虜になることは間違いありません。大会運営を通して、そうしたディベートの魅力を全国の高校生に届けられたなら、大変嬉しく思います。


写真
左から美濃羽宗徳(岐阜県・聖マリア女学院高校)/三原伸剛(和歌山県・近畿大学附属和歌山高校)/今井りえ子(岐阜県立益田清風高校)/山田悦司(岐阜県立岐阜工業高校)/渡部正実(岐阜県立土岐商業高校)

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