VIEW'S REPORT
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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論戦を通じて生まれる他校生との友情

 決勝に進んだのは、神奈川県の私立栄光学園高校と埼玉県立伊奈学園総合高校。出場全チームが見守る中、否定側が無責任な投票の弊害や少年院の更生教育の重要性を鋭く論じれば、肯定側はデータの根拠を求めるというスリリングな論戦が展開された。甲乙つけがたい熱戦だったが、最後は冷静に論陣を張った栄光学園高校が世界大会への切符を手にした。
 英語ディベートの意義は、英語を手段として使うことによって、英語スキルが格段に上がると見込める点にある。ただ、大会の意義はそれだけではない。本大会のコンセプトは「Make friends」。ディベートを通じて仲間づくりをすることが最大のねらいだ。
 互いの意見を交わす中で、それまで顔も知らなかった生徒同士が知己になる。教室で学んだ英語で外の世界とつながることが、何よりも重要なのである。実際、一試合終えるごとに、生徒同士が名前や連絡先を交換する姿が会場の各所で見られた。閉会式が終わったのちも、多くの生徒が会場に残り、他校の生徒と記念撮影をしたり、健闘をたたえ合ったりする光景が続いた。ディベートを通じて得た達成感、ライバルと心を通わせた経験は、生徒にとって生涯の財産になるだろう。
 第4回大会は09年12月に埼玉県で開催予定。更に熱い論戦が繰り広げられることを期待したい。

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決勝に進んだのは、埼玉県立伊奈学園総合高校(写真右)、栄光学園高校(写真左)。大勢の関係者・来賓の見守る中、リラックスした雰囲気で進められた
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試合が終われば、対戦相手も友だち。互いの健闘をたたえ合い、ネームプレートに名前や連絡先を書き合う姿が見られた
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優秀ディベーター賞には、全参加校から6人が選ばれた。表彰式のあとは皆で記念撮影をし合っていた
優勝 神奈川県・私立栄光学園高校
優勝メンバー

◎今大会出場で得た最大の成果は、ディベートの楽しさに気づいたこと。優勝はもちろん嬉しいですが、勝ち進むことでより多くのディベートを体験できたことが何よりも嬉しかったです。
 最初、ディフェンスのコツがつかめず戸惑いました。ジャッジから自分たちの質問が相手に対するアタックになっていると指摘され、攻め方を修正できたことは大きかったです。以降、質問では相手の意見を明確にすること、ディフェンスでは自分たちの立場を守ることに専念しました。今回の経験を生かし、大学進学後も英語を使った活動を通じてディベートのスキルを磨いていきたいと思います。

小池正克先生

◎優勝チームの生徒たちは入学当初から英語学習に熱心で、校内英会話昼食会や海外高校生短期研修プログラムに参加するなど、英語を使う機会が豊富にありました。加えて、今回のテーマである18歳成人の問題についても、日常的に友人と語り合ったり、他校と練習試合をしたりするなど一生懸命準備していました。日頃からの彼らの努力が大一番で実ったことを嬉しく、また誇りに思います。英語ディベートへの挑戦によって自主的に学ぶ意欲が育まれることを実感しました。生徒だけでなく、私自身も他校の先生方との交流が深まったことは刺激になりました。
 今後は英語ディベートに興味を持つ生徒を増やし、裾野を広げていきたいと考えています。中央大の矢野善郎審査委員長をはじめ、ここまで支えていただいた多くの関係者に感謝します。


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