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新校名、新コース、新校舎
三つの「新」で新たな船出
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高まった進路意識を具体的な進路選択に結び付け、生徒が意欲を持って進路実現を目指すのを支援するために、面談指導も充実させた。以前は生徒個々に応じて面談を行っていたが、06年度からはすべての学級で年5回の二者面談、年2回の三者面談を実施することにした。とにかく生徒と話をする、それにより生徒の内面に迫り、進路実現へ向かう気持ちが途切れないようにできるのではないかと考えたのだ。
生徒の情報を、教師間で共有する仕組みも整えた。一つは「進路・個人成績表・面談表」だ。面談の記録、模試の成績、進路希望、出欠記録など、進路にかかわるあらゆる情報を記入する(図)。進級に伴い担任が変わっても、生徒の希望の変遷や保護者の意向を確認できる。生徒は、担任の指導の連続性を感じ、学校・教師に対する信頼感も高まる。 |
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担任が面談での所見や模試の成績を書き込む。1学年A4サイズで3学年分を1枚のシートにし、担任が代わっても引き継げるようにした。 |
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日々変化する生徒の状況を把握しようと、隔月で「拡大学年会」も行った。「家庭内に問題があるらしい」「病気を患ったようだ」など、面談表だけではわからない、日々の生徒の変化を学年団で共有する。
進路ガイダンスや手厚い面談により、生徒はより高い進路を目指すようになった。4年制大進学者数は、03年度に16人だったのが08年度には56人と増え、進路未決定者は33人から7人に減った。同校の大学進学者の多くは推薦入試やAO入試を利用するが、センター試験の受験者数も、07年度に15人だったのが、09年度は78人と5倍以上に増えた。最後まで頑張ろうという意識が生徒に浸透している表れだろう。総合ビジネス科の躍進も顕著で、日商簿記2級の合格率も5割を超えるなど、県下有数の実績を上げている。
そして、09年4月、同校は新たな一歩を踏み出す。校名を古賀竟成館(きょうせいかん)高校に変更、併せて普通科に「特進コース」と「ベーシックデザインコース」を設置し、進学重視の方向性を明確に打ち出した。3月には新校舎も竣工し、同校の新たな船出を内外に印象付けた。いつしか廃校論も影を潜めたが、教師には改革の手綱を緩める気持ちはない。いつ昔の古賀高校に戻るかわからない――そうした危機感が教師の意識を引き締めていると、米原先生は話す。
「中学校から学校説明会を依頼されるなど、地域からの信頼も回復しつつあります。しかし、特進コースで実績を出せなければ、再び廃校論が出てくるかもしれません。本校にとってはこれからが正念場。地域の人材育成という創立の理念に立ち返って、地域の期待に応えていきたいと思っています」
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