30代教師の情熱
かしわや・ひろき

かしわや・ひろき

教職歴12年。赴任3校目となる同校に赴任して5年目。担当教科は国語。1学年担任。進路指導部副主任。3学年担任はこれまでに3回務めた。


秋田県立能代高校

◎大正14年に開校した伝統校。普通科と理数科を一括募集し、2年進級時に普通科文系・普通科理系・理数科の2科3コースに分ける
◎教員数…非常勤も含めて55名 ◎1学年生徒数…約230名
◎2008年度進路実績…国公立大には、北海道大4名、東北大3名、秋田大28名、筑波大4名など133名が合格。私立大は、東北学院大、青山学院大、上智大、明治大、早稲田大などに延べ211名が合格。短大12名、専門学校12名、就職8名。

VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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30代教師の情熱

生徒に「本当の力」をつけ
夢の実現に挑む心を育んでいきたい

秋田県立能代高校教諭 柏谷浩樹

30代教師の指導力向上は、学校活性化には欠かせない。
今後、学校で中核を担っていく30代教師が抱える
指導上の課題や目標についてのインタビューを通して、指導力向上のヒントを探っていく。

大学卒業後も見越して「本当の力」をつける授業を模索

 私が今、課題としていることは二つあります。一つは、生徒にとって「本当の力」になる指導とはどのようなものかということです。20代のころは、「大学に合格できる学力にまで、とにかく鍛え上げればよい」と思い指導していました。生徒に「あれをしなさい」「これくらいしなさい」と声をかけ、外部模試の合格判定が悪かったら「勉強が足りないんだ」と激励していました。厳しく指導しても生徒はついてきましたし、志望校にも合格していきました。私自身、そうした経験を通じて、大学入試のための教科指導、進路指導の方法とタイミングは少しずつ身に付いてきました。
 ただ最近、大学に合格しても、指導したことが本当に生徒の人生に役に立っているのかと考えるようになりました。前任校では、年輩の先生と組んで、ある学年の国語を担当しました。その先生は、授業で「私はこの文はこういう思いで書かれていると思う」「みんなはどう思うか」「ここが不思議なんだよな」と自分の思いを生徒に投げかけ、生徒の関心を引き出していました。特に課題を出さずとも、生徒が自ら考え、調べて次の授業で発表するような授業展開となっていたのです。
 自分の授業を振り返って、生徒に「知りたいから、面白そうだから勉強しよう」と思われる授業をしていただろうか。新任のころは国語の面白さを伝えたいと情熱を持っていたのに、いつの間にか大学進学だけに向いている自分がいました。
 私は、定期考査などで生徒が予想通りの得点を上げないと、「あれほど授業で教えたのに、何を勉強していたんだ」と思っていました。ところが、ある日、年輩の先生が授業で「みんなは一生懸命勉強したのに、私の教え方が悪かった。申し訳ない」と生徒に謝ったと聞きました。その先生に理由を尋ねると「結果で生徒を責めてはいけない。まず生徒が理解できる授業ができていたのかを考えなければならない」と言われました。私ははっとしました。学力が上がらないのを生徒の勉強不足のせいにするならば、私という「教師」がいる意味はないと気づいたのです
 生徒の関心や意欲を引き出せるような授業とはどういうものか、まだ私はつかめていません。いろいろな先生の考えや思いを聞いて、自分なりの指導を見つけたいと思います。

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