30代教師の情熱
なかむら・あきひろ

なかむら・あきひろ

教職歴10年。赴任2校目となる桑名北高校では6年目。担当教科は理科。1年生担任。2008年度は進路指導部でインターンシップを担当。


三重県立桑名北高校

◎1980年に開校した全日制の普通科高校。大学進学を目指す「カレッジクラス」を1年生から設け、「チャレンジクラス」(一般学級)と共に、生徒一人ひとりの進路実現を支援する。
◎教員数…非常勤も含め66人
◎1学年生徒数…170~200人
◎2007年度卒業生の進路実績…4年制大学には27人、短大には9人、専門学校には43人が進学。就職は81人。

VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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30代教師の情熱

生徒の力を信じ
その可能性を正しい方向に導ける教師でありたい

三重県立桑名北高校 中村陽明

いろいろな体験が生徒を成長させるように、教師にとっても厳しい体験が
ハードルを越える契機となる――。教職歴10年の中村陽明先生は、自身の経験を通じて
生徒の可能性を信じ、導く指導を追究していくことが、教師の楽しさだと話す。

自分の甘さを思い知ったことが教師としての成長につながった

 教師という仕事の本当の面白さに気付いたのは、教師になって3年目。前任の進学校で1、2学年と持ち上がって3学年担任となった時です。それまでに受け持った学級で、生徒が度々問題を起こしたこともあり、私に3年生の担任が務まるかという議論となったのです。結果として引き続き担任をすることになりましたが、そこには大きなつまずきが待っていました。
 私が受け持ったのは、学年の中でも成績が伸び悩んでいるクラス。生徒の大半は中学時代優秀であった自身の栄光に浸り、現実を見ていませんでした。そうした生徒にどのようにして前を向かせ、希望進路を実現させていこうかと、私は大いに張り切っていました。
 ところが、5月に行われた最初の進路検討会で、壁にぶつかりました。私は生徒一人ひとりの希望や学力を考え、適切だと思う志望校を挙げたのですが、ある先生に「君の判断では生徒の可能性を狭めている。本当に生徒を伸ばそうと思って真剣に考えたのか」と厳しい口調で指摘されたのです。自信を持って指導に臨んでいただけに、衝撃を受け、自分の視野の狭さと知識不足を思い知らされました。年下の先生もいる場で恥をかかされ、悔しさのあまり、反論しようにもその言葉が出てこないほど打ちのめされたのです。
 それから入試本番までの8か月、私は生徒の可能性を信じ、正しい方向へ導くためにはどうすればよいかを徹底的に考え、何でも実行しました。模試で成績が伸びている学級があれば、自分の学級とはどこが違うのかを観察しました。その教室はぴかぴかで、掲示物も真っすぐ張られていました。担任に聞くと「ここまできれいにしないと、生徒は落ち着いて学習できない」と言われ、早速自分の学級でも隅々まで掃除をするように指導しました。ある時は、LHRでの話題を先生方に聞いて回りました。生徒が伸びている学級ではどのような話をしているのかを知りたかったからです。自分ができないことを知ることで、周りの先生に相談できるようになったのです
 先輩の指導を手本としながらがむしゃらに進んだ結果、受け持ちのクラスから国公立大に数人合格者が出ました。自信を持てなかった生徒が、何かしら手応えを感じて成長していく。それを目の当たりにした1年間が、私の教師としての在り方を決めたのです。

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