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困難をバネにできるような指導をしていきたい
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前任校で学んだ「生徒をいかに導くか」という姿勢は、今でも変わりません。
ある時、本校で親子関係に問題を抱えている生徒を受け持ちました。生徒は対人恐怖症の傾向にもあり、登校しても教室に入れない日が多くありました。しかし、頭ごなしに叱りつけてもうまくいくとは思えません。そこで私は、納得いくまで生徒と向き合い、授業を受けられるようにする決意を固めたのです。
話し合いの最中に生徒が怒鳴り出し、教室の外へ飛び出したまま数時間戻らないこともありました。しかし、私は待ち、今すべきことは何かを、時には厳しく生徒に粘り強く伝え続けました。保護者へも、生徒のマイナス面の報告ではなく、「可能性」から伝えました。帰宅後、いつものように厳しく当たることのなかった親の変化に、「自分は信じられていると感じた」と後日話してくれました。
どうにか毎日、授業に出られるようになった矢先、その生徒の家庭で大きな問題が起き、転校すら頭をよぎる事態となりました。ところが、「家族が大変な時だからこそ、私は頑張る」と言い、登校して授業もしっかり受けたのです。生徒の成長にとても驚かされた私は、それ以降、その生徒には人生全体の中での今の位置を意識させる声掛けをしました。「階段が10ある中で、今は4。その一段を上るのが苦しいだけで諦めてはもったいない」と激励し、道を外れないように伴走していきました。いつしか生徒は「人の役に立ちたい」と口にするようになり、介護について学べる4年制大学を志望。見事、合格しました。
人間には困難があっても乗り越えられる力があり、逆境はむしろバネとなって大きく成長していくチャンスにもなる――。学校でそれを可能にするのは、生徒を一番近くで見ている担任だと思いました。
実は、前任校の進路検討会で私に厳しく当たった先生から、その後、「中村先生なら伸びそうだからあえてきつく言った」と打ち明けられました。力のある教師には、生徒(若手教師)にどの程度の負荷をかければどのくらい伸びるのかということが分かる。私も授業や部活動など、どのような状況でも、生徒の力を信じ正しい方向へ導いていける教師でありたいと思います。 |
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