特集 「自立心」を育てる進路学習
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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迷いながら小論文テーマを絞り込む過程を重視

 総合学習のもう1つの柱は、表現力の育成。指導の中心は、1年次の小論文、2年次のディベート、集大成となる3年次の課題研究論文だ。
 1年次の小論文では、国語科の協力を得て、原稿用紙の正しい使い方から始め、「ブレーンストーミング」をしたり、「論文の構成と校正」など小論文の基礎を指導して1200字の小論文を執筆・発表させる(図2)。ディベートは、各クラス4つずつ論題を提示してクラス予選を行い、代表チームによる学年ディベート大会を行う。発表を聞く生徒は全員、各チームの発表内容を評価し、ジャッジペーパーに記入する。最も重視するのは論理的思考力だ。
図2
 「論文発表では、いかに論理的に構成されているかという観点で評価するよう、指導を徹底しています。そのような視点を身に付けさせるため、ディベートの審判を生徒に任せることにしました。肯定側・否定側の意見を冷静かつ公平に聞き、主張の妥当性を判断する経験は、客観的な視点を養うのに役立つと考えました」(谷藤先生)
 3年次の課題研究論文では、学びたい学問や就きたい職業にかかわる事柄を半年間、調査・研究し、4000字の論文にまとめて発表する。
 論文作成・発表のプロセスは、論文テーマの設定→レジュメ作成→中間発表→個人研究→下書きの提出→清書提出→クラス発表会→全体発表会となる。テーマは生徒が自由に決めるが、ここでつまずく生徒は多い。教師はある程度助言はするが、細かく指示はしない。
 「4月の段階で、アブストラクト(概要)まで絞り込むのが理想ですが、漠然としたテーマしか決まらない生徒が大半です。ただし、中途半端なテーマでは、4000字の論文は書けません。そのような生徒は、研究を進めるうちに必ず壁に突き当たります。テーマ設定の甘さに自分自身で気付き、軌道修正することが、表現力や論理的思考力の向上に欠かせないプロセスなのです」(吉田先生)
 6月末の下書き提出後も、自身の意志で書き直しをする生徒は多い。クラス代表の生徒の論文は『優秀作品集』に掲載されるが、選ばれた後も掲載までに何度も追実験を行い、データの精密化を図る生徒もいる。
 3学年担任の星野朋己先生は、次のように語る。
 「初めて課題論文の優秀作品集を読んだ時は驚きました。先生方の指導も大変だったと思います。しかし、実際に指導に当たってみると、調べ学習から始まる活動の中で、生徒は自らの力で成長していくことが分かりました。1年次、2年次で培った、調べる力、表現する力が論文という形で実を結んでいくのです」

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