特集 「自立心」を育てる進路学習

鹿児島県立甲南高校

1949年に旧・鹿児島県立第二鹿児島中学校と旧・鹿児島県立第二高等女学校が統合して発足。2001年度に「地球規模でものを考えるリーダーの育成」をSI(スクール・アイデンティティ)に掲げ、人間性・創造性・指導力など、国際社会で活躍できる資質を備えたリーダーの育成を目指す。

設立●1906(明治39)

形態●全日制/普通科/共学

生徒数(1学年)●320名

09年度入試合格実績(現浪計)●国公立大は、北海道大、筑波大、東京大、京都大、大阪大、神戸大、広島大、九州大、鹿児島大など267人が合格。私立大には、上智大、早稲田大、同志社大、立命館大、西南学院大、福岡大など延べ164人が合格。

住所●〒890-0052 鹿児島県鹿児島市上之園町23-1

TEL●099-254-0175

WEB PAGE●http://www.edu.pref.
kagoshima.jp/sh/Konan/
kh-flob/home.cgi

鞍掛巳千治

▲鹿児島県立甲南高校校長

鞍掛巳千治

Kurakake Michiharu
教職歴36年。同校赴任歴1年目。「自分を深く見つめ、努力する生徒を育てていきたい」

VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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【学校事例2】鹿児島県立甲南高校

「KIプロジェクト」を核に
取り組みの連関を見直し自立の芽を育てる

真の自立は、集団の中で自分が何をすべきか考えられること――。
「総合的な学習の時間」(以下、総合学習)で「KIプロジェクト」を
推進してきた鹿児島県立甲南高校の取り組みを紹介する。

生徒にはビタミン剤教師には接着剤のプロジェクト

 鹿児島県立甲南高校が、総合学習で「KI(ケイアイ)プロジェクト(Konan Innovation Project)」を始めたのは、現行の学習指導要領が施行される2年前の2001年度のことだった。同校は、1980年代後半には、毎年400人前後の国公立大合格者を出していた。しかし、少子化による学級数・生徒数の減少に加え、私立の中高一貫校の台頭などにより、進学実績も苦戦が続くようになった。
 その復活の起爆剤として企図したのが、KIプロジェクトだった。学習指導要領改訂に合わせて策定したSI(スクール・アイデンティティ)「地球規模でものを考えるリーダーの育成」を達成するために、「人間理解の深い生徒」「課題意識のある生徒」「自己表現できる生徒」を育てる進路学習である。
 1年次は、「テーマ学習」「ディベート演習」「小論文コンクール」により、環境・福祉・少子化などのさまざまな社会問題について考察。2年次は、各自が希望する学部・学科別の「KIグループ」をクラス横断で組織し、5、6人のグループによる学問研究、個人研究を進める。3年次は、これまで各自が探究してきたテーマを論文(マスターピース)にまとめ、プレゼンテーションを行う。
 これらの取り組みにより、学校の状況は大きく変わった。KIプロジェクトが始まる前の数年間に現役合格者がなかった東京大・京都大の合格者が復活して進路実績が上向くと共に、09年3年生4月の進路志望調査では、5年前と比べて東京大志望者が1人から9人に、京都大志望者は1人から15人へと、飛躍的に増えた。「とりあえず地元の大学へ」と言っていた生徒が、明確な志望を持って大学を選ぶようになったのだ。
 進路指導主任の黒木誠先生は、KIプロジェクトの位置付けを次のように話す。
 「KIプロジェクトは、生徒にとってはビタミン剤、教師にとっては接着剤の役割を果たしていると思います。学校の主食はあくまで授業ですが、進路学習によって生徒はほどよい栄養を摂取できます。教師にとっては、90年代後半の苦しい時期の後に、試行錯誤しながらも職員団が取り組みを成功させようと努力することで学校内の連帯感を高められました」

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