特集)学力下位層の拡大にどう向き合うか

秋田県立横手高校 

◎秋田県第三尋常中学校が前身。「剛健質朴」を校訓とし、社会的・公民的資質の育成と理性・知性・感性の涵養を図る。文武両道をうたい、全校生徒の75%が部活動に加入。陸上競技部などが全国大会で活躍する。例年180人ほど国公立大合格者が輩出する。

設立●高校:1898(明治31)年

形態●全日制・定時制/普通科・理数科/共学

生徒数(1学年)●275名

09年度入試合格実績(現浪計)●国公立大は、北海道大、岩手大、秋田大、東北大、東京大、新潟大、京都大などに計219人が合格。私立大には、青山学院大、慶應義塾大、法政大、明治大、早稲田大などに延べ207人が合格。。

住所●〒013-0008  秋田県横手市睦成字鶴谷地68

TEL●0182-32-3020

WEB PAGE●http://www.
yokote-h.akita-c.ed.jp/

VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
  PAGE 3/16 前ページ  次ページ

【学校事例1】秋田県立横手高校

習熟度別授業と
定期考査対策講座で
学力全体を高める

秋田県立横手高校では、成績下位層の拡大に加え、
成績上位層の薄さに対応するため、習熟度的要素を取り入れた「講座制」と
成績下位層のための定期考査対策講座を行っている。

高校入試倍率はほぼ1倍 入学者の学力層が拡大

 秋田県立横手高校は、旧制中学校を前身とする県内有数の伝統校だ。例年180人前後の国公立大合格者が輩出する進学校であり、2009年度入試では199人が現役で合格した。その同校においても、近年の新入生の学力低下は大きな課題だ。進路指導主事の鈴木和人先生は、「いわゆる『ゆとり教育』を受けてきた生徒が入学するようになってから、学力低下が顕著になったと感じます。本県は小中学校の全国学力・学習状況調査で上位となっていますが、高校入学後に実施するスタディサポートからはそうした結果は読み取れません」と話す。
図:高校入学段階での学力層別割合の推移(スタディサポートの結果より)
 少子化の影響もある。秋田県の人口は秋田市内に集中し、その影響を受け、郡部の18歳人口は減っている。クラスを一つ減らしたものの、少子化の進行にクラス減が追いつかず、ここ5年間、同校の高校入試の倍率はほぼ1倍だ。
 こうした影響もあり、高校入試の得点分布において、ここ数年、秋田市内の進学校に差をつけられている。3学年主任の本田嘉之先生は次のように指摘する。
 「09年度の高校入試で不合格だった受験生は、わずか十数人です。生徒たちなりの緊張感を持って受験に臨んでいるとは思いますが、かつてと比べるとかなり甘くなっているのは事実だと思います。その甘さから脱却できないまま高校生活を迎えると、成績がなかなか上がらないのです」
 こうした問題に加え、高校入試制度の変更による影響もあるという。05年度から前期(学力検査なし)・一般・後期(同校では実施しない)による入試になった。約1割いる前期入試での合格者には、中学校での活動実績に優れているものの、学力に課題のある生徒もいる。合格者全体では成績中下位層が厚く、上位層があまりいない状態も見られる。成績下位層の学力を引き上げ、学校のけん引役となる成績上位層をいかにつくり上げるかが、大きな課題となっている。

  PAGE 3/16 前ページ 次ページ