特集)学力下位層の拡大にどう向き合うか
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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「教科主任会」を授業時間内に組み込む

 成績中位層の学力向上を図る上で重要なのは「授業第一主義」の徹底だという考えの下、08年度から教科主任の役割を明確にした。
 「本校では、教科主任の役割があまり機能していませんでした。しかし、担当教科ではどのような方針で指導にあたるのか、授業力をどのように高めていくのかなど、教科主任がリーダーシップを発揮すべき場面はたくさんあります」(酒井先生)
 まず、週1回、教務主任と各教科の主任が集まる「教科主任会」を授業時間内に組み入れて定例化させ、教科間の連携やノウハウの共有を図るようにした。放課後などに行うと、参加できない場合が起こりやすいため、教科主任が確実に集まれるような時間帯に設定し、取り組みに対する意識を高められるようにした。
 更に、教科主任が、教科内で各教師と個別に面談を行うようにした。授業について指導・助言できる機会を意図的に設ければ、指導の方向性や教科経営についての共通理解も得られる。また、成績下位層の生徒に対しては、教科主任が必要に応じて個別に面談する。教科主任にとっては担当外の生徒の状況を把握でき、生徒にとっては教科主任との面談によって刺激が得られる。
 「高校教育の土台は、教科指導です。教科主任こそが中心となって各教科を主導していく意義は大きいと思います。特に新学習指導要領では、より教科横断的な指導が求められます。他教科のノウハウを取り入れたり、情報を共有したりする必要性は、格段に高まるでしょう。教科主任会をいかに生かしていくかが、今後の授業改善の鍵になると考えています」(酒井先生)
 「学力層の幅が広いのは、地方の公立高校の宿命です。あらゆる学力層に対応した指導ができなければ、本校の存立意義はない」と、堤先生は言い切る。
 今後は授業第一主義の徹底を図りながら、取り組みの成果をデータに基づいて検証し、指導改善に生かしていくという。

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