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新課程をきっかけに学校の活性化を図りたい |
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こうした同校の取り組みは、「生徒を手厚く指導しながら、学力保障・進路保障をしてくれる学校」として、地域からも高い評価を受けるようになった。その一つの表れが、男子の入学希望者の増加だ。女子校から共学に移行した多くの公立高校が男子生徒の確保に苦しんでいるのに対して、同校では男子の入学者数が女子の人数とほぼ等しくなってきている。
ただ、新たな課題も浮かび上がっている。「安積黎明は生徒の面倒見がよい」という評価が高まりすぎたせいか、受け身な態度の生徒の入学が更に目立つようになったというのだ。
「『安積黎明高校に入れば、しっかり指導してくれる』という印象からか、年々、まじめでおとなしい生徒が増えてきているように感じます。逆に、強いリーダーシップや知的好奇心、豊かな発想力で、学校やクラスに刺激をもたらしてくれる生徒が少なくなりました。生徒の均質化への対応が、今の課題です」(伊東先生)
そこで、同校が力を注いでいるのが、学校行事や部活動の活性化だ。同校のコーラス部は全国屈指のレベルにあり、全日本合唱コンクール高等学校部門において30年連続で金賞を受賞している。この影響からか、コーラス部に限らず、学校全体で合唱が盛んだ。「校内合唱コンクールでは、普段は恥ずかしがり屋の男子生徒たちも一生懸命に歌う」(遠藤先生)という。また、近年では男子の部活動も活発になり、野球部やサッカー部などが好成績を収めるようになってきた。「学校を活性化させ、他の生徒をぐいぐい引っ張ってくれるような生徒を育てたい」というのが、同校の思いだ。
そしてもう一つ、同校が学校変革の契機にしたいと考えているのが、13年度に始まる新課程だ。
現行の学習指導要領は、「総合的な学習の時間」に代表されるように、学習や探究活動に主体的に取り組む生徒の育成を狙いの一つに据えていた。しかし、現実には、義務教育での学習内容の3割削減の影響もあり、高校現場は基礎基本が定着していないまま入学してくる生徒への手立てに追われていた面があることは否めない。
「その点、新課程では中学校での授業時数や学習内容が増えるため、一定の学力をあらかじめ備えた生徒が高校に入学してくるようになるのではないかと期待しています。私たちは、高校教育として本来行いたかった、知識の活用に重点を置いた授業や探究的な活動に取り組みやすくなるでしょう。新課程をきっかけに、高校入学時の生徒の実態を正確に把握し、今まで成功している導入期指導によって学習習慣の定着や自学自習の力を付けながら、生徒が自発的に発展的な学習に取り組める環境をつくり出したいと思います。45分授業では時間が足りなくなる教科が出てくるかもしれません」(伊東先生)
同校が新課程への対応を本格的に検討するのは、これからとなる。数学、理科で新課程での指導が先行実施されている中学校の指導の状況や、新課程が大学入試に及ぼす影響などを、注意深く見守る必要があるからだ。ただ、具体的な詰めの作業は今後の課題だとしても、同校ではこれまでの教育活動を振り返り、成果が上がった取り組みを継承しつつ、更に深化させていくために新課程を活用していこうとする姿勢を明確にしている。 |
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