指導変革の軌跡 愛知県・私立名城大学附属高校「導入期指導」
原口敏幸

▲名城大学附属高校

原口敏幸

Haraguchi Toshiyuki
教職歴22年。同校に赴任して20年目。特進3学年主任。「特進クラスだからこそ、勉強以外のことにも懸命に取り組ませたい」

山村信一

▲名城大学附属高校

山村信一

Yamamura Shinichi
教職歴・赴任歴共に15年。特進1学年主任。「目標なき教育活動は成果が伴わない。自分が納得できるまであきらめず行動したい」

VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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補習を削減する理由を保護者に説明し、理解を得る

 続いて、補習や課題を削減した。学力低下を不安視する声があったが、山村先生は「生徒の顔を学校に向けさせることを優先すべき」と訴え、放課後補習はすべて廃止にする代わりに、授業に全力を傾け、国数英の家庭学習を徹底させた。土曜補習は模試の事前事後指導に絞った。小テストは全校共通の漢字と英単語のみ。また基準点も設けず、点数が悪くても追試はしない。
 補習削減に対する保護者の理解を得る努力も、怠らなかった。かつて、1年生の補習を減らした時に保護者からの批判が相次ぎ、翌年から補習を復活させたことがあった。2学年主任の荻野茂美先生は、保護者への説明の重要性を次のように話す。
 「本校には、中学3年生から塾に通い、短期間に学力を引き上げてもらって合格したという生徒が多くいます。生徒も保護者も与えられることに慣れ、学校や塾に依存する傾向にありま す。特に保護者は私立の特進クラスに入学させた以上、公立高校よりも熱心に面倒を見てくれることを期待していますから、補習を減らすことは大きな決断だった と思います」
 補習削減に対して、保護者からの問い合わせが数件寄せられた。教師は丁寧に指導方針を説明し、学級懇談会や三者面談などで「補習を減らす狙い」を訴え続けた。中には「そこまで考えていただいていたのですね」と驚き、お礼を述べた保護者もいたという。

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