谷口 |
以上の課題を踏まえ、お二人の実践をご紹介いただけますでしょうか。 |
前田 |
私は高校入試レベルの英語学力の習得を当面の目標にしています。実践の柱は二つで、「日々の課題」で中学レベルの英語の文法や単語をマスターすることと、音読中心の授業により基礎的なフレーズを体で覚えさせることです。
「日々の課題」では、家庭学習として市販のドリルに取り組んでいます。1日の範囲を決めて、課題チェック表(図1)と共に朝のSHRで集め、その日のうちにチェックし、解答を挟んで返却します。現2年生は、1年次の秋から始めて、翌年の2月までに中3の内容を終わらせました。2年次は引き続き長文のドリルに取り組んでいます。
重要なのは10分間、20分間でもよいので、毎日取り組ませることです。「学び直し」が必要な層の生徒には自学自習の習慣がないので、まずは家庭で机に座らせる習慣を付けるところから始めなければなりません。ここで手を抜いてしまうと、生徒は学びに向かわなくなってしまいます。また、量をこなすことで自信を持たせるのも重要です。1人当たり1年次にドリルを3冊、2年次は5冊、語数にすると11月時点で約1万9000語を読破しました。2万語を超えた時点で生徒に発表しようと考えています。
もう一つ、留意しているのは、日々の課題を通して生徒に「学習の仕方」を身に付けさせることです。ドリルに解答を挟んで渡す時、「参考書の○ページを見なさい」とメモにアドバイスを記したり、良い解答を出した生徒の答案のコピーを挟み込んだりします。学び直しが必要な生徒には、やり方を教えることも、実践の大きな狙いの一つです。 |
谷口 |
以上の「日々の課題」に加えて、前田先生は音読を多用したコミュニカティブな授業を実践されているとうかがっています。 |
前田 |
授業ではリスニングやペアワークを多用し、和訳文は前もって提示してしまいます。ペアワークや音読をしやすいように教科書の内容をアレンジした教材を使い、慣用句を繰り返し音読したり、文の切れ目を意識したスラッシュリーディング(注1)を行ったりします。日本語を聞けば英語のフレーズがすぐに思い浮かぶというくらいに、ひたすら音読をして頭にたたき込みます。徹底的に反復し、ある時教科書が読める自分に気付かせる。その達成感こそが、次の学びへのモチベーションにつながると考えています。 |