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実践事例

善野八千子先生
善野八千子先生
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学校評価の実践事例から学ぶこと
 西小学校は、学校訪問もし、先生方にお話もうかがっていますが、赤羽小学校は取材記録を拝見しただけです。両校のコメントに温度差があることをお許しいただきたいと思います。
保護者用アンケートは家庭数ではなく児童数で
 西小学校の学校評価の成功は、導入の仕方や分析結果のフィードバックなどにポイントがあると思います。学校というボトムアップを基本にしてきた組織では、管理職のねばり強い姿勢が成功のカギかもしれません。
 学校教育自己診断の保護者の回収率が93%ですが、各種調査で、この数字を超えるものを私はあまり知りません。同校がいかに保護者との関係づくりに努力してきたかの表れでしょう。
 診断に際して、保護者用も家庭数ではなく児童数で行ったそうです。その分、集計は大変だったと思いますが、正確に学年ごとの、あるいは学級ごとの取り組みを評価してもらえます。保護者も子どもの数だけ記入するのは大変ですが、その理由を説明し、「フィードバックの仕方も考えています」と説明すれば、むしろ納得されるはずです。
公募委員に学校の自立性を感じる
 学校協議会では、公募委員を加えているのが同校の特色です。応募者のリポートによって選んだという姿勢からも、はっきりとした自律性が感じられます。現在も、活気ある新しい事業を創造し、展開中だそうですが、管理職は、「こういう道筋をたどって改善に向かっている」「学校教育自己診断と、学校協議会がこのようにつながっている」など、価値づけ、意味づけをしていくとよいと思います。
何をきっかけに始めてもかまわない
 赤羽小学校が学校評価を始めたきっかけは文部科学省の研究委嘱だったということですが、何をきっかけに始めても構わない。始めたことに意義があります。
 しかも、「実施してみたら課題が顕在化して、教員の意識が変わった」ということですから、お見事です。というのは、実施目的を明確に持たず、実施することが目的になっている学校では、「やってみたけど、徒労に終わった」という声を聞くこともあるのです。同校の成功は、めざすところがはっきりしており、評価のサイクルがうまく回ったからだと思います。
 研究委嘱校のメリットに、スーパーバイザー的存在から指導を得られることがあります。このチャンスを生かさない手はありません。大事なことは、研究委嘱が終わっても、校長先生が替わっても、継続・発展させるために“赤羽らしい”やり方を確立していくことではないでしょうか。
年代別代表は、参加しやすさへの工夫
 外部評価として学校評議員とは別に教育モニター制度をつくっていますが、住民の移動が少ない地域ならば、継続的に学校を見てもらえます。前掲の西小の「スクールモニター制度」も同様ですが、頻繁に保護者にアンケートを求めるのは、時間的にも労力的にも難しい。この制度の成果は大いに活用したいものです。
 校内のプロジェクトに年代別代表を加えたのはユニーク。ミドルリーダーの育成のためにも役立つし、何よりも参加しやすい組織をつくるという姿勢は学びたいものです。(談)
 
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