少人数ならではの授業スタイルを模索 |
東小学校の相澤陽一校長は、開口一番、「普通の学級規模をさらに小さくしただけの少人数授業では、たいした成果は期待できません。少人数授業には、少人数ならではの授業方法があるはずです」と指摘した。そこには、これまで少人数授業に取り組んできた経験と自信がうかがえる。
授業ごとに学級を複数の集団に分割する少人数授業は、規制緩和や地方分権の流れのなかで、全国に広がりつつある。なかでも愛知県犬山市は、市独自に非常勤講師を採用して、少人数授業に踏み切った先進地域だ。同校でも市教委から非常勤講師3人が配置されており、全学年の算数の指導で、少人数授業を導入している。
また、同市は文部科学省が明確化した“学習指導要領は最低基準である”という方針を受けて、学力向上と基礎・基本の徹底に向け、市内の関係教科の教員をほぼ全員動員して、独自の副教本(図1)を小学校の算数と理科で作成した。これも少人数授業やTTを円滑に実施できる要因の一つとなっている。 |
▲図1 犬山市独自で開発した3年生用の副教本。現在、算数、理科の2種類があり、市内の小学校で活用されている。書き込み形式になっており、子どもたちの達成感が得られるように工夫されている。下は答え
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オリエンテーションで学習に見通しを持たせる |
同校が、少人数授業でめざしているのが「『教師が教える授業』から『子どもが学ぶ授業』への転換」だ。少人数授業は、全学年の算数で、1学級を2集団に分割して実施されている。授業の形態は、一斉指導、グループ学習などを組み合わせているが、中心はグループ学習で、ほとんどの時間がこれに充てられている。
グループ学習は、子どもが互いに教え合い、学び合い、主体的に参加する授業にするのがねらいだ。先生がその日の学習内容や課題を説明したあとは、子ども同士が4人程度のグループごとに学習を進め、先生は机間指導をしていく。教務主任の水谷茂先生は、「教師はどうしても教えたがるものですが、子どもに授業を任せることがあってもよいのではないか」と言う。
授業の内容と方法は、非常勤講師も含めた担当者全員で、各単元ごとに話し合い、年間指導計画を立てる。各単元の授業形態は、その単元のねらいを説明するオリエンテーション、次いで一斉指導、グループ学習をするという流れになっている(図3)。 |
▲図3 領域によって学習形態を変えて実施することで、一斉指導を大きく上回る効果が現れている
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とくに、ゴールである到達目標を各単元の初めに示すオリエンテーションは、子どもに学習全体の見通しを持たせるために絶対に欠かせないという。また、指導教員による差が出ないように、授業担当者は、単元ごとに交代する仕組みを取っている。 |