ベネッセ教育総合研究所
関  靖直氏にきく
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子どものようす→教師の実態→地域の実態の順序で構想
 とはいえ、子どもに無理があってはなりません。子どもの実態や地域の実情に応じたやり方で実施すべきです。
 地域の実情に合わせてというのは、例えば、同じ小学1年生でも、6歳までに経てきた経験は地域によって違います。町中で育ってきた子と、田んぼや畑に囲まれ、自然のなかで走り回ってきた子どもでは、たとえ同じことを学ぶにしても、前提になる知識・体験・関心のあり方が違うのです。
 また、学校の規模、先生方の構成やタイプでも違います。別にベテランがよくて、若い先生がいけないというわけではないのです。管理職は、若い先生が多ければ多いなりの、ベテラン中心ならそれなりの学校経営を考えるべきであって、諸条件が子どもたちに最も合致するようにカリキュラムを組んでいくのが、これからの学校の管理・運営のポイントです。「ナショナルミニマムも大事だけれど、ローカルオプティマムがそれ以上に大切だ」といわれるゆえんです。
 各学校が特色を出すということについては、生活科が導入されてもう20年以上経ちますし、「総合的な学習の時間」の実践が学校に入り始めてもう7、8年になります。小学校の先生はもう十分にトレーニングを積んでいると思いますから、あまり心配はしていません。
 ただ、予断を持たないでほしい。
 例えば農村地域の子どもたちだからといって、草や花についてよく知っているかというと、そうとは限りません。長野のある小さな村の小学校を訪ねたとき、子どもたちが花壇の手入れをしていたので近寄ってみると、どれが雑草かわからないと困っていました。農家の子どもであっても、いまはほとんど家業を手伝わないので、知りようがないのです。
 そのように、ここは○○だからなどと思い込みをせず、虚心坦懐に子どもの実際のようすを観察するところから始めてほしい。(1)子どものようすから→(2)教師の実態から→(3)地域に何があるか、この順序を踏めば、無理のない構想が出てくると思います。


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