「学びの基礎力」は教科学力に影響を与える |
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調査を設計するに当たっては、「学びの基礎力」という概念を導入しました。学習動機や学習スタイル、各種生活体験など、学力との関連が高いと思われる要素を、「A豊かな基礎体験」「B学びに向かう力」「C自ら学ぶ力」「D学びを律する力」の4領域に整理し、体系化したものです(図1)。 |
▲図1 学びの基礎力の構造モデル
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まず、これら4領域のスコアが高い子どもほど教科学力スコア(注3)が高くなり、両者の間には、正の相関関係があることがわかりました(図2)。 |
▲図2 教科学力と「学びの基礎力」の間には正の相関がある
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注3 教科学力スコア 「学力向上のための基本調査」で使用した学習到達度調査の通過率をもとに、国語・算数の教科総合点を偏差値換算して各人の「教科学力スコア」と定義。この総合スコアを上位から、7%、24%、38%、24%、7%の割合に準じて、5段階の学力レベルを設定した。
例えば、「A豊かな基礎体験」の「基本的生活習慣」にかかわる項目で、「朝食は毎日食べるようにしている」の肯定群の教科総合スコアが50.4であるのに対して、否定群は45.2となり、約5ポイントも差が出ました。他の項目でも、肯定群と否定群の教科学力には有意な差があることがわかりました。
ちなみに、教科学力に最も影響を与えるのは学習スキルや学習習慣に当たる「自ら学ぶ力」ですが、中2生になると、学習動機や自己効力感に当たる「学びに向かう力」の影響力が相対的に高まることがわかっています。 |