ベネッセ教育総合研究所
愛知県小牧市立小牧中学校
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ITスキルがもたらす効果(2)
子どもたちの表現の選択肢を広げる
 IT授業の導入の一つの効果といえるのは、「表現の選択肢の広がりを子どもたちに伝えられることだ」と岩崎先生は言う。
 「書くことが苦手な子でも、パソコンであれば長い文章を打つことができたり、例えば詩集を作るというときに、絵が苦手だと思っている子や字がうまく書けない子でも、積極的に自分を表現しようという気になったりする。これはとても意味があることです。表現の選択肢が広がったということですから。逆にパソコンでの入力は苦手だけど手書きなら書けるという子には、手書きで作らせるというふうに、自分に合ったやり方を選ばせることが大切です。だから、今回の詩集でも、自分で書いた絵をスキャナで取り込むこともできる、ということを伝えるのは大事なことだと思います。子どもがいろいろな選択肢を知って、自分で選ぶ助けになればと思います」
 それはパソコンは万能なものではない、と子どもたちに伝えることでもある。手で書いたほうが速いもの、インターネットで調べるより百科事典で引いたほうが速い場合など、個人個人や場面に応じてツールを見極めていくことが、目的に応じた自分なりの表現方法を見つけることにつながる。
ITスキルがもたらす効果(3)
子どもたちの思考方法が広がる
 さらにパソコンは表現の選択肢だけではなく、今後思考の幅も広げていくことにもつながると岩崎先生は考えている。
 「4年生では、パソコンに入力しながらものを考えるということはまだしていません。これが画面上での推敲をするようになると、また一つ思考のバリエーションを広げることにつながります。例えばパソコンの大きな特徴は何度もやり直しがきくということですよね。それは紙の上で考えるときにも応用のきく思考方法です。子どもたちのなかには紙に書くときは、きちんとしたものを書かなければならないという意識が強く、なかなか書き出せない子もいます。でも、とりあえず書いてみる、違ったらやり直すということがパソコンでの経験を通してできるようになれば、それは一つ思考の仕方を身につけたといえると思います」
写真
▲写真3 コンピュータ室は、教室というより最新のオフィスのような雰囲気。
子ども全体を把握したり、一人ひとりの作業のようすを見て回ったりしやすい配置だ
☆☆☆
 パソコンの技術を習得することが目的ではない。最終的にめざすのは、子どもが自分に合った表現・思考方法の選択肢を広げること。それは手段と目的を見失いがちなIT活用の現場では、忘れてはならない視点である。


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