ベネッセ教育総合研究所
関  靖直氏にきく
大槻達也
文部科学省初等中等教育局教育課程課長
大槻達也

おおつき・たつや●1981年文部省(当時)入省。臨時教育審議会事務局、高等教育局大学課大学入試室長、大臣官房総務課広報室長等を経て、2002年8月から現職。
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わが子を通わせたい学校をつくってほしい
2003年10月の中央教育審議会答申を受け、同年12月に学習指導要領が一部改正された。現行の学習指導要領は02年4月から実施したばかりであるが、おおむね10年に1度改正されてきたことを考えれば、一部とはいえ、わずか2年での改正は画期的だ。文部科学省として改正にどんな願いを託したのか、大槻達也教育課程課長にうかがった。


国はナショナルスタンダードをつくり、
学校のよい取り組みを支援します
─今回の改正の意図、現場に理解してほしいいちばんのポイントは?
大槻 今回の答申は、本文だけを見ればわずか24ページです。まず、先生方には、それをしっかり読んでもらいたいのです。
 学習指導要領というのは、全国どこの学校に通っても一定水準の教育が受けられるよう、共通に指導する内容を国が保障しているものです。その核となる部分は押さえたうえで、地域や子どもたちの状況に合わせ、各学校や先生方の創意工夫の余地も広げていこうというのがいまの流れだと理解してほしい。

─「学習指導要領の基準性の明確化」で、自治体や学校の裁量権が増大していくと思います。文部科学省として、各学校をどのように評価・検証していくのですか?
大槻 私たちの仕事としては、一定のスタンダードを示したうえでよい取り組みを集め、それを活用してもらうことが中心になってくると思います。
 国が2万3千数百校の小学校、何十万学級での教科指導をいちいちチェックするのは非現実的です。基本的には、各学校に自己点検・評価をしてもらい、地域や保護者への積極的な情報提供によって、それぞれに評価してもらうという方向にならざるを得ないでしょう。裁量権には説明責任もともなうのです。
 もちろん、義務教育であるので、冒頭申し上げたように、国としてまず指導していただきたい内容をきちんと示し、そのための条件整備を行っていきます。
 例えばいま、議論されているような、教員給与費を地方交付税化するなどの動きには、給与の自治体格差が広がる危険性もあり、文部科学省としては反対しています。
 評価手段ですが、まず教育課程実施状況調査(学力調査)を継続的に行います。同時に情報を集め、子どもたちの実態や世の中の進展に照らして、学習指導要領の中身は適切かどうか、きちんと行われているか、それらを常にレビューし、よりよいものにしていくことが責務だと思います。
 学力調査は「評価」の一つですから、結果を適切に学習指導要領の改善に反映していくことが最も重要で、それが「説明責任」だと思います。

─各学校が直接かかわるのは教育委員会ですが、どのように連携をしていけばいいですか? また、国として各教育委員会にどのような働きかけをするのですか?
大槻 公立学校の場合は、設置者の市区町村の教育委員会が、責任を持って各学校をバックアップしなければなりません。国の役目は、各教育委員会が力を発揮しやすい仕組みをつくる、あるいはいいモデルの提示を含めた情報を提供していくことです。
 各教育委員会のスタンスは、住民のニーズを汲みとり、応えていくことが基本です。国が一律に指導するのは、分権の流れに逆行することになると思います。
 教育委員会のあり方については、今年3月に中教審に諮問され、審議会の場で議論されていますが、個人的には、市町村合併によって、力量、人的スタッフの面で充実してくるのではと期待しています。


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