ベネッセ教育総合研究所
特集 保護者の教育力を生かす学校づくり
石川小学校データ
 関東平野の北部、栃木県中央部、人口約9万4千人の鹿沼市にあり、創立130年の歴史をもつ。近隣は農耕地のほか、工業団地、流通センター、東北自動車道などの開発が進み、自然と近代施設が際立った対照をなす。1996年度に鹿沼市が文部省(当時)より「学社融合推進プロジェクト教育ネットワーク構築推進事業」の研究委託を受けた際、実践校に指定され、地区の小・中学校や公民館などとともに学社融合に取り組んできた。
〒322-0015
栃木県鹿沼市上石川1344
TEL 0289-76-2019
FAX 0289-76-0636
校長/半田史子先生
児童数/157人、
学級数/7学級
半田史子
▲半田史子校長
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実践事例(1)
栃木県鹿沼市立石川小学校
「学社融合」で学校が保護者・地域とともに
教育力を高め合う
 鹿沼市との共同研究で「学社融合」の取り組みを進めてきた石川小学校。行政主導でのスタート後、どのように学校の意識改革を進め、異動が激しい教師への動機づけを行ってきたのか──。試行錯誤を重ねながら、学校が保護者・地域と教育力を高めていった経緯と成果を紹介する。


行政主導で始まった「学社融合」の活動
 「学社融合」とは、学校教育と社会教育との関係をいっそう強化しようという観点から、学校の活動と地域活動が重なり合う部分での新たな教育機会をつくり出そうというものである。つまり、単に学校に保護者や地域の人を招いたり学校施設を地域に開放したりするのではなく、活動を通して、両者がともにより高い教育力を身につけることを目指している。
 取り組みの始まりは1996年度に鹿沼市が文部省(当時)から「学社融合推進プロジェクト教育ネットワーク構築推進事業」の研究委託を受け、その実践校に石川小学校が指定されたのがきっかけだった。
 当初は戸惑いも大きかった。行政主導で始まった取り組みだけに、「学社融合」について知識のない教員がほとんど。市の担当者が教職員研修や教員一人ひとりとの面談を行い、実践しながら取り組みへの理解を深めていった。
 また、家庭・地域には、「学校だより」や保護者が集まる場を利用して、学校から学社融合の理念や効果を説明した。
 現在は、児童数157人(世帯数約120)に対して、各活動に延べ約190人、実人数約90人が地域・家庭から参加。そのうち保護者は約70人と、児童の家庭の半数以上が学社融合の活動にかかわっている。
 実践の中心として設置されたのが、13の「学習支援委員会」(図1・2)
▼図1 石川小学校方式の学社融合の図。
教師・保護者・地域の方が学習支援委員会を組織、
一体となって授業づくり、地域活動づくりを担う
図表
▼図2 テーマごとに設けられた13の学習支援(推進)委員会と、主な活動内容
図表
 音楽、国際理解などのテーマごとに、担当教員と自分の知識や技術を生かしたい保護者や地域の有志とで構成し、活動の計画立案なども行う意思決定機関だ。これと、国際交流市民組織(「グローバル・グループ」)やKLV(鹿沼図書館ボランティア)などの既存の組織が連携することで、活発でスムーズな運営が実現した。
 13のテーマに分かれた活動は、正規の教科活動として行われるものと、課外活動として行われるものとがある。
 保護者や地域の委員のうち、関心の高いメンバーの何人かは「学社融合コーディネーター」となり、より円滑な活動を実現するため、学校と地域の間の連絡・調整を行っている。また、各委員会の代表者と全教職員で「石川小学校区学社融合推進会議」を年3回開催し、年間の活動計画を立案する。


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