ベネッセ教育総合研究所
特集 保護者の教育力を生かす学校づくり
小千谷小学校データ
 新潟県のほぼ中央、信濃川沿いの人口約4万人の小千谷市にある、児童数・学級数とも県下最大規模のマンモス校。1868(明治元)年に日本で最初の公立学校として開校した。1995年から、「開かれた学校」を模索しながら「地域が学校 地域の学校」を目指し、活動を発展させてきた。2003年からは文部科学省の学力向上フロンティアスクールの指定を受け、国語科・算数科における少人数指導を中心に、研究を進めている。
〒947-0031
新潟県小千谷市土川1-5-1
TEL 0258-83-2042
FAX 0258-82-3405
校長/牧野明雄先生
児童数/1011人、
学級数/32学級
*取材は新潟県中越地震の前に実施しました。
牧野明雄校長
▲牧野明雄校長
PAGE 13/17 前ページ次ページ


実践事例(2)
新潟県小千谷市立小千谷小学校
ボランティアコーディネーターと、
学校を開く仕組みを確立し、活動の継続を実現
 学校を地域・保護者に開くことの大切さはわかっても、それを実践し、継続していくのは簡単ではない。古くから学校を開いてきた小千谷小学校がその試みの組織化に取り組み始めたのは、およそ10年前。その継続には、「ボランティアコーディネーター」の存在が大きな役割を果たしている。


「学習参加」→「学習参画」→「学校ボランティア」へと発展
「開かれた学校」の組織化に向けた取り組みが小千谷小学校で始まったのは1995年。特殊学級での保護者参加の試みをきっかけに、「保護者と共に子どもを育てることで教育の効果が上がる」ことを実感。その後、授業を中心に全校で活動を発展させてきた。その試みは、大きく三つの段階に分けられる(図1)。
図表
▲図1 小千谷小学校の「開かれた学校づくり」の取り組み
(1) 学習参加の開始(95年度~)
 保護者や地域の方たちが、朗読や討論に加わるなど、さまざまなかたちで授業に参加し、教師と一緒に授業をつくる形態(写真1)からスタートした。
写真
▲写真1 1年生の算数の学習参加のようす。
「まるつけお母さん」や「ひんとお母さん」の参加で、
担任1人ではできない授業が実現できる
 保護者への参加の呼びかけは担任が学級だよりなどで行った。
 当初は、保護者参観日に限り、授業に保護者や地域の方が参加していたが、やがて通常の授業でも必要に応じて行われるようになり、03年度は32学級で延べ319回、1学級平均約10回の学習参加型授業が実施された。

(2) 学習参画への拡大(98年度~)
 教師にも保護者にも学習参加活動が浸透してきたのを受け、98年度からは、保護者や地域の方の個人の枠を超えて、公的団体や民間企業など地域の機関や人と連携し、学習の計画立案から活動展開、評価までを共に行う試みが始まった。例えば、土木事務所の方と地域の川へ出かけて自然のよさと便利さのバランスを学習したり、学区内の介護老人保健施設と校舎内の施設の改造計画を立てるなど、多彩な活動が行われてきた。

(3) 学校ボランティアの組織化(00年度~)
 さらに00年度からは、保護者や地域のだれもが自分の意思で支援活動を行えるように学校ボランティアを組織化した。図2のように活動内容を設定し、学区内でメンバーを公募して登録してもらい、毎年更新するようにしている。
図表
▲図2 04年度の学校ボランティアは、
授業や授業外でこの24種類の活動を行っている
 活動の形態は学校の依頼に応じて音楽や算数の時間などに指導の協力をする活動と、ボランティアからの提案で教科外活動として自主的に行う読み聞かせ(写真2)などの活動と2種類がある。04年度は71人が登録している。
写真
▲写真2 毎週水曜日の昼休みに行われている、
学校ボランティアによる読み聞かせ


PAGE 13/17 前ページ次ページ
 このウェブページに掲載のイラスト・写真・音声・その他のコンテンツは無断転載を禁じます。
 
© Benesse Holdings, Inc. 2014 All rights reserved.

Benesse